書き出し_休載小説の話をなんとか終わらせよう_アステリアの鎖 393
「だめだ、どうやら私たちは、元の世界に帰ることができない。だが、死ぬ方法は見つけた。それは喜ぶべきことだ」
――冗談ではない。
時間は勝手に流れていく。現実はいつも無情であり、運命はいつも自分たちを翻弄し嘲笑う。
聖胚となった自分たちは、不老不死の存在であった。しかし、元の世界へ帰還する、別次元への転移実験の際に、地球に生きて戻ることが、!不可能であることが判明したのだ。
亜神たちによって、改造された肉体は元の世界に入った瞬間に自壊した。転移先の場所はキャンプ場が近くにある山であり、被験者となった男は人間以外の知的生命体がいない、自分たちの馴染んだ光景に涙を浮かべていたのに。
「なにが、一体、なにが起こったというのだ」
彼の願いが叶うことなく、次元の穴を通り抜けて地球の地を踏んだ瞬間、肉体がたちまち溶けだして、服も骨も残さず蒸発してしまった。
叩きつけられた現実と絶望は、自分たちの結束に致命的なヒビを入れたのは間違いない。
ためしに自分たちとは違う、デーロスに生活圏を持った人類種の二世代、三世代も投入したが、結果は変わらなかった。
地球への帰還が叶わないことが判明して、派閥が大きく二つに割れた。
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