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書き出し_休載小説の話をなんとか終わらせよう_アステリアの鎖 480

「どうか、僕に決心させてくれ。地球(故郷)への帰還を諦めさせてくれ。そして、どうか一緒に地獄に堕ちて欲しい。こんなこと、君たちに言うのは酷なのかもしれないけど、僕はもう耐えられないんだ」

 ジンの懇願する声は、まるで血を吐くような痛みと切実さがあった。希望を糧に、自分の心を何度も何度も削って、なんども立て直して立て直して、複雑骨折レベルで心を折っていたとしても、ジンは諦めることもできないのだ。だからこそ、自分で自分の望みを壊さなければならない立場に絶望している。

 心の支えを、自分の手で壊さなければ、前に進むことが出来ない。
 ならばできることは、グダグダの先延ばしか、自ら命を絶つしかない……のだが、この上位世界で自殺はできるのだろうかと、ファウストは考える。

 プルートスはチラリとジンの様子を盗み見て、大きなため息をついた。

「どうして、お前さんたちは結論をすぐに出そうとするのかねぇ」
 
 プルートスは腰に手を当てて、ため息交じりに言葉を紡いでいく。
ゆっくりとした足取りでファウストたちのそばに歩み寄ると、二人の顔を交互に眺めながら言葉を続ける。

「そう言うのは、やってみてから考えろよ! 想像は結局、現実に影響を与えないんだ! 想像力を働かせるだけで、なにかをした気になっているんじゃねっ! やれるもんなら、やってみるんだ!」
「――っ!」

 手厳しい言葉だが、プルートスの言葉はジンの心に届いたようだ。
 顔を上げて目をつぶり「ごめん」と呟いたジンは、寂しそうに笑っていた。

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