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書き出し_休載小説の話をなんとか終わらせよう_アステリアの鎖 350

 ユリウスが編み出した第三魔法は【神の鼻ネ・ディ・ジュ】だけではない。

『……だから、いろいろと俺たちは計画を立てた。二班に分かれて、テロの主犯を見つけ、同時にカーリアを逃がすことにしたんだ。ユリウスが開発したオリジナル魔導があれば、その二つを達成できるってな』
『オリジナルの魔導?』
『あぁ、お前のマナマイに近いものだが。だがユリウスの魔導は、第三魔法を取り入れたものだ』

 自分たち三者の間に膨大なエネルギーが膨れ上がってくる。
 ファウストもゼロも、肉体に抵抗しつつ頭脳をフル回転させて、オリジナルの魔導と同時に、名無しの儀式を執行させるタスクを並行で行うのだ。
 肉体も脳にかかる負荷も尋常ではなく、王族二名の体液を摂取しなければファウストはその場で蒸発していただろうし、ゼロの方も25年かけて、魔導姫が肉体を改造させたことで存在を維持している。

 こうなれば、根競べだ。お前が勝つか、俺たちが勝つか。

 ファウストは自分の一人称を、もともとの俺に戻した。
 もはや自分のこだわりを捨てて、すべてを討ち捨てる覚悟をもたなければ、この世界は滅ぶと確信していた。

 膨大に無限に膨れつつあるエネルギーが、縮小してボール状となり、さらに縮小して点となった時、空間に穴が開く。

「あっ、あぁ」

 喜色で緑の瞳を輝かせたアステリアは、完全に油断した。

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