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書き出し_休載小説の話をなんとか終わらせよう_アステリアの鎖 333

「どうだい? この辺の宿だと、追加料金を払えば、この食材をオーブンで丸ごと焼いてくれるんですぜ!」
「あらー」

 カーラは曖昧に濁した。熱心にセールストークを繰り広げる店員の視線は、カーラの胸に注がれており、商品の売れ行きよりも己の眼福を優先させていることが明らかだった。

 あぁ、分かりやすい。

 もしここで、自分が店員に魅惑の魔法をかけ「ここにあるヤツ、全部無料で売れ」と命じたら、はたしてどうするつもりなのだろうか。他人に対して明らかに無防備で、なんの根拠もなくカーラが自分を傷つける存在ではないと思い込んでいる。

「腸は別売りなんだけど、それでソーセージを作りましょうかい。満月ニンニクと魚醤をきかせると絶品! 絶品!」

 セールストークは熱を帯びているが、店員の視線は定まらない。頭の中でカーラの胸を揉みしだいて、ズボンの下で欲望を育てていることが匂いで分かった。

「うーん。私的には、別のモノが食べたいなー。例えば」

 カーラは熱弁をふるう店員の声を遮って、武骨な手の甲を意味ありげにさすった。

「……ぃ」

 やや垂れ目の青い瞳が熱で潤む。ぺろりとピンクの舌を出して、見せつけるように唇を舐めながら、手首を優しく掴んで上下に摺り上げると、店員が期待と怯えをない交ぜにした視線でカーラを見た。

「休憩時間教えて。一緒に、ご飯を食べましょう」
「は、はい」

 いただきまーす。

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