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書き出し_休載小説の話をなんとか終わらせよう_アステリアの鎖 444

 標的のいない暴走する渦は、やがて力を失い形すらも失うのだが。

――ざあああああぁ。

 渦が消滅した瞬間に、夜空から降るのは灰色の雨。瓦礫も石材も生き物もなにもかもが、高エネルギーの中で形を失い混じり合って、地上へと降り注いでいく。
 雲のない満月だけの夜空。降り注ぐ灰色の雨。高台へ避難していた住民たちが、非現実的な光景を見上げていた時だった。

「――ぐっ、ゲボ」

 やがて避難していた住民が苦しみだした。懐中電灯を落とし、血を吐きながら咳き込み、顔がみるみる紫に変色して、バタバタと倒れていく地獄のような光景だった。

「あーあ、かわいそうに」

 ティアを批難する紫の瞳には、意地悪い光が揺れている。
 灰にまみれて倒れた人々を月光が照らし、死体から流れ出ている赤い血が、懐中電灯の明かりの中で灰色に混ざり合う。

「なんて、ひどいことを」

 カーラが青い瞳を見開いて勇者を糾弾するが、アレイシアもアステリアも涼しい顔をしていた。自分たちを葬ろうとすれば、魔法や攻撃を別次元の空間に飛ばして、無関係の人々を巻き込む悪趣味な牽制だった。

 もはや、彼女たちは、この世界なんて【本当に】どうでもいいのだ。

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