書き出し_休載小説の話をなんとか終わらせよう_アステリアの鎖 494
種神が悲鳴をあげた。痛みの悲鳴ではなく、怨嗟の悲鳴でもなく、歓喜の、ようやく終わることが出来た安堵の悲鳴だった。
種神の巨体を貫いた魔王は、ボロボロと朽ち果てて、その破片を種神の触手が拾い集めていく。すでに取り込んだ二人も吸収されて、因果に引っ張られるかのように、世界中に散っていたアステリアの複数体が、次々と種神の中へ入って行った。グロテスクな化物の身体に、流れ星が次々と飛び込んでいくような光景であり、種神の中に流れ星が入り込むたびに、邪神は蠢動して【自分の欠けた部分が保管されていく】感覚に酔った。
【これで、ようやく、アタシたちは結ばれたのでアスティ】
種神の中で勇者の呟きが響き、種神は新しく再生された【口】で歌を歌う。種神にもたらされた概念――異次元同位体アステリア99号――劣化した種神であるが、彼女こそ種神が失い、損なっていた部分を生まれ持っていた、完璧で皮肉に満ちた神に近い存在であり、過去と未来の二つの魂を持つアレイシアが種神に時間の概念を与え、異形の怪物を巨体の補修に充てていた魔王の巨体が、神に新たな肉体を与える。
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