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書き出し_休載小説の話をなんとか終わらせよう_アステリアの鎖 172

 助けなければ!  助けなければ!

 ティアがそう思ってしまうのは、若さゆえの青さと二人を自分の命令で死地に追いやってしまった責任感だった。だが、それがいかに危険なことなのかを気づかない彼女は、自分が行くしかないと思い込み、いまだ夢と現をさまよっている意識を奮い立たそうとする。

 起きないと、起きろぉっ! わたしなら大丈夫だっ!
 大丈夫なんだからぁっ!!!

 意識だけのティアは内側で叫んだ。鞭を打つように叱咤した。しかし、それは決して彼女の心を目覚めさせるものではなかった。

 ドクンっ、ドクンっ、ドクンっ、ドクンっ…………!

 心臓が激しく暴れる。鼓動のリズムが大きくなる。
 心が恐怖する。
 最悪の事態ばかりが脳裡をかけめぐり、意識だけのティアに悪夢のような走馬灯を見せつける。

 いやだいやだいやだ、死なないで、いやだ、死なないで、いやだよっ!

 彼女は欠けている。自分の死に対しては無頓着であり、自分の価値を知ろうとしない。
 だからこそ、カーラが執ろうとした行動を察して、聞こえない悲鳴をあげる。
 目は開いていない。だが、細い両椀で持ち上げられている感覚と、身体に当たる風の感覚で、自分が今、カーラに抱きかかえられているのが分かった。

「逃げますよ、ティア様っ!!!」
 

 

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