書き出し_休載小説の話をなんとか終わらせよう_アステリアの鎖 69

「じゃあ。まず、あなたは誰? あなたのバックに誰がいるの? 目的は王位継承の儀式の阻止なの?」

 半眼でコハクを睨みつけるティア。早口で問いかける言葉は嫌悪感を隠さず、男への強い怒りで満ちていた。出来ればこの手で八つ裂きしたいほどの怒りを律して奥歯を噛むめば、口の中に鉄錆の味が広がっていく。

「あ……ぁっ」

 だが、今のコハクにとっては彼女の殺意に近い怒りが心地よく、甘美なスパイスとして頭の中を満たして、女王に従うように促される。

「はい。私は25年前に滅ぼされたライラの生き残りです。流浪の民となり、化け物たちから追われる日々で、クロノス商会に保護されました。そこで世界の真理を教えられた我らは、志をともにする純血主義の同志たちと共に勇士を募り、世界を救うために行動をうつしたのです」
「そうですか。背後にいるのは、クロノス商会」

 もしかしたらヘルメス教授を殺したのも、レオナ姉さんを殺したのも。

 ティアの胸中にどす黒い感情が生まれ、頭の中で猟奇的な狂気が咲き乱れる。復讐、報復、雪辱、復仇(ふっきゅう)……あぁ、これでは永遠に終わらない。オルテにテロを行ったライラは滅ぼされて、亡国の民が復讐心を胸に牙をむいた。

 

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