見出し画像

書き出し_休載小説の話をなんとか終わらせよう_アステリアの鎖 487

「だけどな、だからこそ、分析できるんだよ。こんな状況を作り出した種神の心理状態がな」

 ジンがそう言うと虚空を指さした。そこには水槽が現れた。球体のフォルムに、縁がヒラヒラのレースと水流を合わせたような、個性的なデザインをしており赤くて小さい一匹の魚が泳いでいる。

「種神はこの水槽の金魚を何度も殺して飽きた。だから、次はどんな遊びをしようかと考えて、外来生物を水槽にぶちこんだんだ。……つまり、それが暗黒種さ」

 水槽の中に、いつのまにか小さくて黒いタコが泳いで金魚を包囲する。だが、暗黒種を現わしているタコたちは、金魚になんのリアクションをとらない。

「が、種神にも誤算があった。暗黒種が思った以上に暴れなかったんだ。というか、玉座の間に現われて、オルテに自分たちの種を提供したことに驚いたみたいだね。けど、自殺する世界から観測するに、暗黒種がこのデーロスで暴れるのはこの世界の終わり――無限ループの気配を感じ取った時だ。この程度の変化では種神は満足しない……では、次に暗黒種のことを考察しよう」
 

#小説
#連載小説
#ダークファンタジー
#ダークファンタジー小説
#オリジナル連載小説


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?