書き出し_休載小説の話をなんとか終わらせよう_アステリアの鎖 83

 ファウストの説明によると、彼には妖植族トレントぞく魔樹族マインドレイクぞく鬼菌糸種マタンゴしゅの三種族の血が混在している。この種族に共通している特製の一つが、寄生によるネットワークと単体生殖なのだが、ファウストの父親は純血の人間種であるため、彼は単体生殖で完璧で独立した自分の複製をつくることができない。

【ナンバーズ】はファウストの細胞を培養させ、魔力菌糸体マナ・マイスィーリアムのネットワークを繋げることで無理やり作り出した、複製体。ファウストの魔力を供給することで動く、魔導人形に近い存在なのだ。

 彼らはファウストに顔かたちが瓜二つであるため、所属にあわせた瞳と髪の色にして区別をしているのだという。

「前の【サード】はレオナール殿下の護衛をしていたんだが、ある日突然【ロスト】した。おかげで、レオナール殿下の異変に気づけたわけだが、残念な結果に終わっちまったし、【セカンド】は女王陛下やアマーリエ殿下を襲撃から守り切ったものの、犯人グループもろとも自爆しちまったせいで、犯人たちの足取りをきれいさっぱり消し飛ばしちまった。……本人にその気がなかったとしても、結果しか見ていない連中は、こいつのことを裏切り者だと散々罵ったわけさ」

 プルートスは苦い表情で吐き捨てる。

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