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書き出し_休載小説の話をなんとか終わらせよう_アステリアの鎖 432
「人格二個持ちなんて、とんだキメラだね。流石、あたしだ。やることがえげつない」
「「黙りなさい、勇者アレン! オルテュギアーを、この世界を、貴女の好きにはさせない」」
「あははははっ! それでいいんだよ。イーダスは本当に臆病者だった! 自分の罪に向き合わずに、あたしのいいようにされたんだからね」
「――!」
優越感を滲ませた紫の瞳は、アマーリエだった部分を刺激した。
いつもいつも自分を見下し、愛されていることに優越感に浸っていた幼い瞳。無邪気さゆえの残酷さで姉たちを傷つけて、息を吸うかのように被害者ズラをする出来損ないの末妹。
呼び覚まされた記憶と腹の奥から煮え立つ感情が、眼前の敵に対して激しい殺意を抱かせた。
「――」
赤い唇が蠢き、魔力のうねりが水を生じさせる。
無詠唱の魔法だった。カーリアだったものは、四方八方に魔力をまとったウォーターカッターを飛ばしてアレイシアをけん制しつつ、手のひらに光球を収束させる。
「黒い北斗七星」
これはアステリアに放とうとして、結局不発してしまった第三魔法だった。
白い光球がたちまち赤黒い血のような輝きと、青みを帯びた金色の光が火花を散らして、勇者アレンに迫ってくる。
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