書き出し_休載小説の話をなんとか終わらせよう_アステリアの鎖 92

 魔導王国オルテュギアーにおいて、身分があがるほど武器の所持が許されない。この世界の守り手であり、魔導王国と標榜する国として、民として刃物や拳銃といった原始的な武器を使うなどもってのほかなのだ。
 魔導とは魔法を使い、己と世界と接続する技術。この身、神羅万象、己を取り巻くすべてが、最高の武器であり盾であるべきと幼子の頃から教え込まれる、骨の髄まで信奉を刷り込ませる。
 斬撃ならば、水魔法か風魔法。銃撃ならば、炎魔法か雷魔法。防御ならば、土魔法に光魔法。
 窮地に陥るならば当人の力不足と知恵、知識の不足が原因であり、敗北と闘争は嘲笑の的である。
 ゆえに、オルテの民は他国よりもプライドが高く、彼らの強固な価値観により500年もの間、青いバラが咲いていた。

「答えろ! ファウスト」

 プルートスは部下に詰め寄る。

 オルテの民の流儀に乗っ取るのであるなら、王族に対する礼儀として、水魔法のナイフで、ティアの指に軽く傷をつけるべきなのだ。痛みを感じさせず、品よく鮮やかに、水のナイフで美しく傷をつけなければ高官としての資質が問われる。使い魔を使用して、直接的に傷をつけるなんて不敬を通り越して野蛮な行為であり、王立警察 警視総監補佐の肩書を持つ者がやっていい行為ではない。

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