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書き出し_休載小説の話をなんとか終わらせよう_アステリアの鎖 334

 久々の食事はジャスト5分で済んでしまった。多少、血とか肉とかをいただいたが、回復魔法を使って手当もしたし問題ないとカーラは考えている。ぐったりとした店員の男を路地裏に置き去りにしたカーラは、まだ自分が飢えていることに気づいてげんなりとした。

 イシュタル大陸から出てきて、服用する衝動抑制剤の量が一気に増えた上に、蛇たちも苛立ちから暴走しがちになっている。抑制機能のあるヴェールを買ってみたものの、なんだか自分の思考まで支配されそうで、果てしなくうんざりとした気分になる。

 それにしても、お腹がすきましたー。

 戦場にいた頃は情交することで、空腹を誤魔化していたのだが、敵襲もなく間の抜けた空気の中で結合する行為は、なんだか単純作業みたいで己の飢餓感を埋めるものではない。

 あーあ。早く、イシュタル大陸に帰りたいな。

 戦友に託されたものを家族に届ける――とはいえ、カーラは大陸の外に出てから世界は自分が思っている以上に広くて、しかも自分はかなり世間知らずの部類に入ると痛感した。自分がいま行っていることは、砂漠地帯でオアシスを探すどころか砂金を探していることに等しいことだと気づいても後の祭り。
 自分には理解できないルールがたくさんあって、特に外の世界ではその場で他種族を襲い、捕食することが固く禁じられていることが信じられなかった。
 

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