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書き出し_休載小説の話をなんとか終わらせよう_アステリアの鎖 492

 デオンの言い回しには、諦めと嫌悪がにじみ出ていた。彼がここまで生きてこれたのは、意固地という――人間にしか理解できない気持ちであるだろう。

「……あなたのお友達が上位世界にいたわ。あなたの力が必要だって」
「……嘘だ」

 反射的に口走る言葉に、デオン自身が動揺する。久しぶりに心臓が脈打ち、息を吹き返すような感覚に己の中がぞわぞわした。
 ティアは手短に、これまでのことを説明するとデオンは、泣き笑いに近い表情になり「あぁ」っと、唸るような声を漏らす。

「そうか、ジンが。こっちは、約束を果たしていないというのに」
「そう考えるのは早計ではないでしょうか? 生きていれば、いくらでも約束は果たせます」

 それはプルートスの考えでもあるのだが、言葉を借りてみてティアは思う――自分たちはこんなにも弱い存在だからこそ、強く前へと押し出してくれる言葉に、勇気づけられるのだと。

「なるほど、そうだな」

 顔を上げるデオンの表情には、もう動揺の色も諦めの影もない。

「行こう、オリーブ園(墓場)へ。もし言っていることが本当であるのならば、この世界は救われる」

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