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書き出し_休載小説の話をなんとか終わらせよう_アステリアの鎖 180
【……へぇ、黒バラね。なかなか面白いことを考えるじゃない】
それは突如として、脳内に割り込んできた声だった。
嘲りを含んだ冷たい女性の声は、カーラの脳に直接語り掛けて、カーラの思考を心理を記憶をなにもかもを、むき出しにさせてのぞき込んでいるようだった。
【ふんふん、今回は豊作だね。ファウストって個体の記憶を読んでみたけど、まさか答えに辿り着く子が生まれてくるんなんて。やっぱり、変な思想に凝り固まる前に、外国に留学させたのが大きかったのかなぁ。それにしもても、見事に頭の中が男でいっぱいじゃないか。あぁ、おかしいぃ。思春期を通り越して見事な発情期じゃないか】
アハハハハハッ……!
きんきんと響く笑声に、カーラは耳を塞ぎたくなった。
声からにじみ出ている黒い感情。遥かな高みからすべてを見下ろしている愉悦と、マグマの如くぐつぐつと煮え立っている粘ついた憎悪。
ドリルを構成する蛇たちが一斉に怯えて、勝手に形態を解除しそうになるのをカーラは必死で呼び止める。
カーラも本能的に相手が、敵にまわしたらいけない存在であることを察したが、ここで臆病風に吹かれるわけにはいけない。
しかし。
「きゃぁっ」
刹那、ドリル全体ががくんと揺れる。地中だというのに、見えない大きな手に捕まれて、ガクガク揺さぶられるような衝撃がカーラを襲い、二人囚われの身となった。
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