書き出し_休載小説の話をなんとか終わらせよう_アステリアの鎖 268
「魔導姫アステリア、あなたの目的はなんだ? 姫様になにをするつもりだ」
捜査官として、この事態を収拾するため、ファウストは本題に切り込んだ。テロと繋がりがあるのかも確定事項ではなく、このままではオルテは吹き飛ぶというのに、彼女は常に余裕をもって行動し、いざなうように、優しく首を締めるようにティアの気力を削ぎ落し、肉塊のイスに拘束している。
「うん、最初はイーダスの望み通りに彼女を人間にするつもりだったんだよ。その予行練習で、第一王女のアマーリエを魔物化させたのだがね」
「……その、知っていて当たり前の前提で話を進めないでくれ。自分たちはそんなに頭がいいわけではないんだ」
ファウストは魔導姫に苦言を呈すると、アステリアはぱちぱちと目を瞬かせた。そういえばという、なんとも言い難い顔になり「そうだよね。君たちはアポロニウスじゃない。はてさて、どこから話せばいいものか」
一応、話し合う意思があるのか、困ったように赤髪をかき上げて形のいい眉をハの字に寄せる。
「こっちから質問するから、簡潔に答えてくれればいい」
「あぁ。それがいい。助かるよ」
そう言って、ほっとするアステリアは緑の瞳にファウストを通じて、なにかを眺めているようだった。
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