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書き出し_休載小説の話をなんとか終わらせよう_アステリアの鎖 174

 もしかしたら、まだ未解明のエリアが近くにも眠っているのかもしれないが、カーラが探しているのはそれだけではない。

「どれくらいの規模の爆発になるか分かりませんが、この下に地下エリアがあるのなら、まだ希望があります」

 そういうわけじゃない。話を訊いて。

 と、筋肉のこわばりからティアの訴える声が脳内で再生される。
 長い金髪――というよりも毛細サイスの蛇たちを、大きな翼のように展開させて、カーラはティアを抱きかかえながら走る。

「わかっています。ファウスト様のことがご心配なんですよね。私も心配していたんですよ。ティア様にもやっと春がやってきたって」

――っ、――っ、――っ、――っ、――っ。

 不規則に強張る肉体が、主人の初心な心情を物語っていた。
 確かにファウストを見たときは、イーダスの親戚かとびっくりしたことが遠い過去のように思えてくる。

 意外だったのが、ティアが初見でファウストとイーダスの顔が似ていることを気づかなかった点だった。
 それだけ時間が経過したのか、彼女の中で父親の存在が薄れてきた証拠だろうと、ある種の親目線に近いさびしさと感慨深さをカーラは覚えた。

 私もいつかは、ティア様の思い出になれるのかしら?

 

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