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書き出し_休載小説の話をなんとか終わらせよう_アステリアの鎖 175

 ティアと出会って、たった五年で、そんなことを考える。
 自分がいつ生まれたのかも、両親が誰なのかも知らない。気付いたら傭兵部隊に拾われていて、血統診断で戦力になるとわかったからこそ、カーラは傭兵となり、イシュタル大陸の戦場で育った。

 生と死が連鎖する戦場でのやりとりで詰みあがっていくのは、死体の山と生き残る技術だけ。次の日には共同戦線をはった部隊と敵対することもあったし、敵対していた部隊と共同で奇襲作戦を行う時もあった。

 戦場で孤立は死を意味していた。そこでぎりぎり命を繋ぐのは、必要最低限の情。信じる心。ヒュドラ部隊の仲間たち。

 今日生き延びても、明日が保証されているわけではない。次の日には自分が死体になっているかもしれない。

 絶対的に安全が保障されていない世界。自分ではどうすることのできない、変動する世界の中で、カーラは自然と神を信じることができた。

 神様。どうか、力をお貸しください。

 カーラはティアを抱えて天井ギリギリまでジャンプし、ヘビたちに号令を出す。

【掘削】【指定深度なし】【限界ギリギリまで掘り進め!】

 シャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャ……。

 蠢く、膨張する、無限に広がる、毛細サイズの蛇の群れたちがティアとカーラを金の繭のごとく包み込んで、ドリルのような形態をとった。

 

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