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書き出し_休載小説の話をなんとか終わらせよう_アステリアの鎖 358

 それはなんとも無様な舞踏だった。陸に上がった人魚が、ふらふらと二足歩行をしているような不自然と不気味さがあり、一本の指に二色の属性を宿したせいで色が混ざり合いながら、空間に絵の具のような不安定な軌道を描いて重なり合うのだ。

 前のような虹色の繭のようにはならず、すべての色をぶちまけてできたヘドロ色のような繭の中、ぐちゃぐちゃな舞踏で術式を組み上げるアステリアを、得体のしれない怪物が蠢いているように見せている。

「出(い)でませよ! スーパーロボット【ゼウス・エクス・マキーナ】へ至る道を! 刻(とき)は来(き)ませり!」

 再びアステリアは叫んだ。
 前回と同様に空間が震えて、ファウストとゼロ、アステリアの身体から黄金の光の柱が伸びる。さらに足元からも光が伸びて、三者の足元を起点に光の線が結ばれて三角の魔法陣を形成した。

 ぐわんと音を立てて、空間に穴が開く。
 無理やり押し広げて作った、二メートル近い黒い穴だ。
 空間に向こう側に見える、深紅に輝く鋼の装甲にアステリアの緑の瞳が喜悦で輝くも、前回はその感情のスキを突かれて存在ごと消滅させられたのだ。
 魔導姫は隙をみせず、油断なく、ただ一心に空間に開いた穴をさらに広げて、魔王を現世に呼び戻そうと破滅のステップを踏む。
 

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