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書き出し_休載小説の話をなんとか終わらせよう_アステリアの鎖 486

 話は少し遡る。

「わからんなぁ。なんで、アンタらはアステリアを殺したんだ? 新しい新天地を作る要素としても、アステリアは必要な存在だったんだろう?」

 訝しがるプルートスに対して、ジンは自嘲気味に微笑して言う。

「これは、君たち混血には分からない感情なのだよ。本能や理屈よりも好きと嫌いが優先されるのが、感情の生き物である人間さ。アステリアはいわば
、神様の出来損ない。――劣化版種神というわけさ。種神のせいで異世界に無理やり連れてこられた、僕たち人類からすれば嫌悪の対象にすぎない。そこにちょうど良く、過去を変えようとしているって理由が付いたから、僕たちはアステリアを殺したわけさ」
「……それが、結果的に自分たちの首を締めるかもしれないのに?」

 信じられない表情をするファウストは、人間の不可解な心理状態に頭を抱えた。最悪も矛盾も彼らの中では理屈が通っており、混沌の坩堝と化した感情の中で正常に狂っている。

「まぁ、そんなわけで、平和な世の中になると。今だけ、金だけ、自分だけの奴らが増えて、世界を滅ぼす第三次世界大戦の一歩手前ってカンジさ」
「……そんな場所に帰りたいのか」
「あぁ、帰りたいね。少なくとも、この異世界よりマシさ」

 悲鳴のような声を上げるファウストにジンは即答して見せた。

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