20日間行った、不買運動のこと。
5月11日。
それが、amazonと楽天市場の履歴に残っている、最後に何かを買った日だ。
そして今日まで、何にも買わなかった。
ネットショッピングでも、自分のお財布を開いて自分のためだけの出費をすることも、なかった。
明日が不買運動の最後の日で、6月1日になったら、私は買ってもよくなる。
とっても楽しみ。
モノを20日ぶりに買う前に、「買わなかったこと」についての記録を残しておきたい。
不買運動のルール
まず、私が行った不買運動はどんなものだったのかを記しておきたい。
ルールその1:期限は5月31日まで。
これは、単にキリが良いからそう決めただけ。
20日くらいならなんとなく出来る気がした。
ルールその2:「出費しない」ではなく、「新たに買わない」。
書くまでもないが、スマホ代が引き落とされてしまうこと、
生きているから光熱費等がかかること、これは仕方がないし抗わない。
何も、1ヵ月1万円生活をしたいのではない。
あの生活をすることでギャランティを貰える芸能人と違って、
私が不買運動をすることは、何も生まない。
だからせめて普通にお風呂にはじゃぶじゃぶ入る。
快適に暮らしたい。
ルールその3:いくら日用品でも、無くて困るものも、買わない
1ヵ月1万円のような生活をしないとはいえ、ある程度の厳しさを課したかった。
日用品は不買運動の対象だ。
化粧水、洗顔料も日用品だからといって買っていたら、不買運動ではなくなってしまう。
もともとあるものでどうにかする。
そして断わっておきたいのは、私は実家暮らしなので、それに助けられた部分は大きかった。
ビールが飲みたいとき、お歳暮で頂いたエビスビールに助けられたことがあったし、
自分の愛用シャンプーがなくなったときも、やたらスース―する父のシャンプーを使った。(父には言っていない)
ルールその4、最も大事なルール:他人を巻き込まない。不快にさせない。
そのため、出勤等の最低限の移動のための交通費は含めない。必要経費。
それから、家族や恋人と食事をするための食材費は含めない。一緒に飲むのならお酒も買う。
ただし、缶ビールもアイスも、一人で楽しむためのものならば絶対に買わない。
要は、月末までのたったの20日間、自分だけが幸せを感じる、というお金の使い方をやめることにしたのだ。
もともとモノを殆ど買わないと言う人からしたら、「そんなこと簡単」と言われるかもしれないが、始める前から、大変そうだと私は思った。
こういっちゃなんですが、意外と持ち物やおしゃれへのこだわりは強いほうで、突如湧き出る物欲と付き合いながら生きることは人生の目標の一つでもある。
不買運動に至った経緯
見出しを簡潔にしたくて「経緯」と書いたけれど、そんなに大袈裟なものではない。
買いすぎてしまっている自分に気が付き、「買わなくてもどうにでもなるな」という実感を得たほうがいいと思ったからだ。(結論を先に決めている時点で実験的じゃないけれど)
この「自粛」状況下では家にいる時間も増えるし、することも限られていて、目的もなくスマホを触ってしまうことが多い。
なんとなくSNSをして、美容系アカウントやnoteを読んで、何かを欲しいと思う機会がますます増えていた。
記憶をたどると、私の会社が在宅勤務奨励をし始めて家で仕事をさせてもらえるようになったのが4月頭。
その日から、断続的にネットショッピングをしていたように思った。
主に美容、スキンケア、メイクのための日用品、
それとSTAY HOME中に整えようとした家の防災用品。
この2つが、主に私のしていた買い物だった。
不買運動することを決めた5月11日、私は以下のものを購入していた。
<楽天>
・セラミド美容液 30ml ¥800
・オサメット(折りたためるヘルメット)¥4,000 ×4=¥16,000
・三菱アルカリ乾電池単三×20本、単4×20本 ¥1,120
・アルミ製緊急用ホイッスル4点セット ¥1,200
<amazon>
・ビタミンC 300錠 ¥2,178
・おぼろタオル(ヘアドライタオル) ¥1,650
・トイレに流せるおしりふき90枚×5パック ¥2,960
※防災用品としてで我が家に赤ちゃんはいない
以上、7点を狂ったようにポチッとして、
計¥25,908也。
その時私は、私、最近お金使ってるなあ、と思った。
ええと、時給換算すると、○時間懸命に働いたお金だ。
ただでさえ、在宅勤務奨励により時間外勤務が減ってお給料が減るだろうに。
そう思ったとき、家にいるこの数週間で私は何回クレジットカード決済をして、いくら分のお金を使ったんだろうと思いを馳せたけれど、
怖くて履歴を遡ることはやめた。
恐ろしいのは、私は特段お金遣いが荒いほうではないという自覚があることだった。
何か欲しくなったら調べて、ちゃんと必要か自問して、類似商品を比較して、最安の方法で買う努力をしていたつもりだった。
それでも悲しいかな、キャッシュレスな支払い方をしていると、
私は自分のお財布、もとい通帳から残高が都度減っていく感覚が薄れてしまう。
「必要だ」と思って厳選した末に、これだけのお金を使っている。
今はクレジットカードやSuica等で支払いをすることが増えているけれど、
私はもともとキャッシュ派だった。
お札をお財布から抜いて支払いをして、
「もうお財布の中にお札がない!」と驚いて、
ATMで数千円を引き出して、「つい数日前にATM行かなかったっけ?」
「こんなに使った覚えはない、何に使った?あの子との飲み会と、そのあとのお茶と、プチギフトと、化粧水と…そっかそんなもんか、ちりつもですね」と自省する。
そういう、罪悪感でもって使い過ぎが防がれていたように思う。
でも、スマホで簡単に決済することが増え、前よりも支出に無頓着になった。
…と考えたのち、不買運動をしようと思い至った。これが経緯だ。
不買運動中に起こった変化
「モノのゆたかさより心のゆたかさだと気が付いた」なんてお説教じみたことを記すつもりもない。
ただ、想像していたよりも、窮屈さは感じなかった。
正確に言うと、窮屈さを感じないように、心理的または物理的に工夫をすることになった。
そして、強いて言うならば少し自己肯定感が上がった。
例えば、私のInstagramのおすすめ投稿蘭には、スキンケア用品関連の投稿が沢山出てくる。よくリサーチしているからだ。
よくある「保湿のための名品ベスト10」系の投稿を見ていた時、自分の使っているものがランクインしていなかった。
それはよくある話で、でもこれまでは多少なりともがっかりしたり、こっちのほうがいいのかなあ、なーんて調べ始めていた。
けれどいまは買えないので、「このまとめをした人は、私が使っている○○とまだ出会ってないんだろうなあ」とあえておめでたい思考をしてみた。
すると、本当にそうかもしれないと次第に思い始め、私は私の使っている美容液が知る人ぞ知る名品なのでは?と、機嫌よく、毎晩大切に使っている。
そして、無くなる前に次のストックを買っていたいつもの日用品。これも、無くなってから買うのでいいかと思った。
ふつう、無いから買うものだわ、あるのに買うな、私。と考えるようにした。
いつものシャンプーが無くなったときは一瞬ストレスを感じたけれど、父のスース―してキシキシするシャンプーを使ったのち、良い香りのするトリートメントをしたら、今までとの香りの違いがわからなくなった。
なるほど、私の髪の香りはシャンプーではなくトリートメント由来だったか。
なるほどなるほど、そしたらシャンプーを次買うときは違う観点から選べばいいのかもと気が付いた。
唯一ストレスがたまったのは、紙の本を買えないことだった。
図書館も休館していたので新しい本が読めなかった。
本は紙で読みたいという謎のこだわりがあるのでKindleは使わなかった。
仕方がないので、家の棚にあった、結末も知っている本を読み返した。
すこしの新鮮さと大いなる退屈を感じたため、Youtubeに逃げた。
根本的解決はしていないが、娯楽の選択肢はある。
こういう、我慢やストレスを何らかの行動や感情に置き換えることを繰り返したのち、
自己肯定感が上がったのだった。
衝動でお金を使わなくなった、
情報に飛びつかず流されなかった、
お店の前を通りかかっても、お店に入っても踵を返した私。
よく考えて、冷静になって偉いぞ!と思った。
もちろん、誰からも強いられてもいない、ただ自分が意固地になって続けているだけのことなので
「暑い日のアイスくらい買えばよかったじゃん」と半ば滑稽なんだけど、
買わなくてもほとんど支障を感じなかった。
そして、これまで欲しいと長らく思っていたものも、「買えない」いまはそんなに欲しいと思わない。これは不思議だ。
私が6月1日に買うもの
不買運動明けに買いたいと思っているものは、この20日間、
買わなかったことでストレスを感じたものだけだ。
結局、私が今欲しいのは
・ハイチオールCホワイティア:毎日飲んでいるものでもうなくなりそう。急いで買わなくてはいけない
・キシキシしないシャンプー:いつものシャンプーを香り第一ではなく別の観点から選ぼうとリサーチを続けている
この二つだけだ。
意外だなあ、もっと沢山買いたいものリストがあったはずなのに、なくても全然心が荒まなかった、やればできるものである。
20日間が私にもたらしたものは私にとっては大きくて、
お財布を開かなったら開かなかったで幸福のレベルにさして影響がなかったという発見は大事にしたい。
これからも、最近お金使ってるなあと思ったら、不買運動を一週間くらいの単位で繰り返したいと思っている。
そして、不買運動期間中に使わなかったお金のぶんだけ、将来欲しい大きな買い物への貯金が近づいたと考えるようにしよう。
私と恋人の共通の夢は、自宅でサウナを楽しめる状態を作ることである。
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