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このあとがきをアナタへ

あぁ、帰りてぇ。

いつからかこの「帰りたい」が口癖になっていた

いつから働いているのかもう覚えていない

今綴っているこの文章が
元は誰に送るもので
何を書きたいのかも忘れてしまった

唯一私の好きな事
それはこのように文章を書き綴る事。

でももう分からない
昨日途中で書くのを辞めた小説は

この後どんな展開になるのか
どんな結末を迎えるのか
もう思い出せない

いや、元々何も考えていなかったんだろう

いつも行き当たりばったりだから

この物語を転する事も出来ず
結もできない。

帰りてぇ。
それを仕事終わりの帰りの車の中で呟いた

自分でもこんな言葉をなぜ呟いたのか分からない

でも無性に帰りたかった

それが家なのか 会社なのか もう覚えてもいない昔の情景へなのかも分からないが

思い出した
憧れの先輩の事
昔仲の良かった友人のこと
連絡を取らくなった家族の事

その時の言葉や風景や選択が
私を物悲しく苛立たせた

この帰りたいという欲求は
何故か嫌いになれない

何故ならインスピレーションが湧いてくるからだ
だから今こうやって文字を並べられている。

私は何者かになれただろうか
私は幸せになれただろうか

私はいつかした約束を果たせているだろうか

淡いあの日の思い出を
車内に充満する汚い匂いで染めていく

また明日も同じことを考えるだろう

一通のメールが届いた

「最近ど?」

あの約束を思い出した
でも叶えられなかったんだ
そうだ 確かあの日 僕は無性に苛立っていた
あの日の何気ないアイツの一言で僕は自分を壊した

でももういいんだ。
あの約束を果たしたい
もう一度……

「実はさ、お金必要になってさ よかったらさ」

私は愛せただろうか
人を この時代を愛せただろうか

いつも大好きなのは自分だった
自分を愛していた

だから愛されたくて当たり前なんだ

いつしか感情がなくなったこの小説は
たまに湧いた薄っぺらいインスピレーションで固められ、それは
見るに堪えない
読む事も退屈な結末で幕を閉じた


あれ?もう終わり?

終わりか
呆気なかったな

何か最後ぐらいどんでん返しができるかと思ってた

結末はいつだって唐突で退屈だ

そうだ
いいインスピレーションが浮かんできた

ここがきっと、あとがきになるな

この文章が面白かったかどうかは
またいつか聞かせて欲しい

君がまた私と会えたなら お帰りと迎えて欲しい

帰ります
お疲れ様でした

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