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自称小説家

私は自称小説家

自称?

そう。自称。私はまだ物語を完成させていない
何も 1つも書き上げていない

正確に言えば、書き上げられない

自称でも小説家を名乗る事が失礼でバカバカしいと私の母親は言った

稼ぎもない 技術もない 終わらせる事もできない
母は私にそう言った。

仕事は辞めた。私がだらしない訳じゃない
私の事を理解できず
ただ蔑む奴らが悪いのだ。

何事にも結末が必要だ
ただ私はこの世でその方法だけが分からない
ただそれだけで、こんなにも生きづらい世界のせいなのだ

母は私を蔑むが、私は分かっている
私だけは分かっている

この書き上げられないお話は
どの小説よりも面白く、素敵だと私は考える

私のお話から欠けた結末の欠片を探そうと毎日を必死に生きた

今まで私は、世界から賞賛される程の幾万のお話を頭のなかで産んでは
消えていった。

その完成もしない 作ろうともしない世界一の作品の数々が私を創った。

私は怖かったのかもしれない
結末を作るのが
結末を作って私の世界一の作品が評価されない事が

いや、そんなことじゃない
この話の結末を知ってしまい、
結末の作り方を知ってしまう事が

もしそんな事を知ってしまったら
私の世界は変わるのだろうか

喜怒哀楽のルーレットを廻す

世界の喜怒哀楽は結末を知って生まれる

振られるという結末を作らなければ
悲しい気持ちになる事もない

試合をしなければ
悔しいという気持ちになる事もない

幸い私は
この人生の結末を見る方法を知っている

しかしそれはまだ早いのだろう

もし私が今、結末を知ったせいで
今度当たるはずだった宝くじや
今度出来るはずだった私の王子様

それに出会いないバットエンドを迎える可能性がある
もちろん、無謀な夢を見て期待をして生きろなんて言わない。しかし

結末は明日を生きる事で簡単に変わる

結末の知り方と
結末のかえ方を知っているだけで人生は豊かになるだろう

だから私はこの小説を終わらせない
終わらせられない
終わらせたくない

明日の私が、この小説の続きをどう書くのか
それだけを楽しみに今は生きようか

日が沈む
無情にも世界は今日という一日の結末をつける

もしあなたが「今日」辛かった
だから私の結末は悲しい物だとそう感じたのなら、この言葉を思い出して欲しい

「貴方の結末は今日に収めてはならない」

貴方の結末はまだ着いてない

楽しかった。嬉しかった。そう思える日を結末にすればいいのだ。

そうすれば「今」辛い事は「未来」への幸福の伏線へと全てが変わる

貴方の人生はまだ序章。プロローグ
これからの物語だ

私もいつか 結末を知るその日まで
貴方と共に生きよう

ん?この話の結末?
愚問ではないか

誇らしげに私は言う

私は結末をまだ作らないのだからと。

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