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HANOWAの忘年会に隠れたいくつかの思想

「等身大の誇りを持てる新しい医療循環をつくる」をテーマに事業をしてるHANOWAの新井です。

年が明けましたが、昨年末に恒例の忘年会をひらまつグループのルミディひらまつで開催しました。

2019年の末に新井の自宅で5人で鍋をつついて以来、5回目となります。
そんな2023年の忘年会は参加者数41名、参画する業務委託メンバーも、彼ら彼女らの家族や子どもも混じって賑やかな会となりました。

隠しているつもりもないし、聞かれもしないからあまり話すこともないけど、実はHANOWAの理想や在り方や文化を形成するものの源流が、いくつかあの忘年会にありそうな気がしてます。

そんなHANOWAの忘年会に、社長のあらいはどんな想いで向き合っているのか言葉にしてみたいと思います。

HANOWAの忘年会の目的

HANOWAは役員と顧問弁護士こそ大阪にいるものの、エンジニアは大多数が東京にいます。
サポートの社員は仙台と金沢にいれば、コーポレートスタッフは熊本にいます。クリエイティブチームも神奈川や京都や全国各地から手伝って貰っています。ちなみに収益もほとんどが首都圏です。本社は大阪なのに。
また今は細々とした作業を合計4社のBPOにも委託しています。役員は2名、社員は3名、その他は皆業務委託者のチーム編成です(2024.1現在)。

いわゆる持たない経営を実践しています。

そんな、フルリモートフルフレックスの職場だからこそ、年に数回はリアルに交流して、社内報ラジオやSlackのテキストだけでは不足しがちなコミュニケーションを補い、親睦を深めて欲しいと思って開催し続けています。

フルリモートフルフレックスでのチーム作りを選択している理由

まず第一の指摘ポイントですが、

不足しがちなコミュニケーション

と、自覚しながらにしてなぜこの全国各地フルリモートフルフレックスの職場環境を維持し続けているのか?です。都内にオフィスをこさえて、社員が迷った時に肩を叩ける距離にいる方が効率的ではないか?合理的ではないか?コンサルタントや投資家には指摘されそうなポイントです。

しかし僕は起業家であり、事業家です。
一見すると非合理的な事象たちを因果で結びつけ、全体として合理的なストーリーを創ることが、事業にオリジナリティと競争優位をもたらします。

賢そうに引用などしてますが、中心にあるキーワードはシンプルです。
子育てと仕事の両立を考えた際、みんなが東京に住むことはどう考えても持続性をイメージすることができませんでした。それだけです。

存命するビジネスマンで、すごく影響を受けた人の1人にサイバーの藤田さんがいます。

仕事は長期戦です。
私も就職して1年目と、起業して上場までの2年間、息を止めて一気に走り抜けて成功した経験があるので、つい集中したくなります。
でも、いま振り返ってみると、長い仕事生活の中で、集中力を要する勝負どころや無条件に仕事が楽しくて仕方ないような時期は、せいぜい全体の5~10%くらいです。
実は、残りの何もない時期や、厳しい時期、飽きてしまった時を、どう凌いでいくかが勝敗を分けるのではないかと、私は感じてます。
時が解決することや、粘り勝ち、残存者利益ということが、ビジネスの世界はとても多いからです。(決断の先送りや、様子見という意味ではありません)

2013.7.15 渋谷で働く社長のアメブロ 「副交感神経

今から10年前。彼が40歳でおよそ14年近い上場企業経営経験をもとに記した上記の言葉は、26歳の僕にはヌルく聞こえました。でも経営者人生が始まってなぜか不定期で思い出します。何かこの記事に感じるものが当初からあったんだと思います。30歳を過ぎ、あまり短期間で派手に勝ち切るようなタイプでもないなと自分を悟った時、「ライバルが倒れるまで立ってさえいればいいのか」となんだか励まされた記憶があります。

家庭が先か?仕事が先か?

こんな風に、どこかで爆発力よりも持続性に重きを置く思考様式が整うと、自然と導かれるのが「仕事よりも家庭(家庭>仕事)」の優先順位です。

長期戦を想定するなら、今の独身者も多くの場合家庭を持ちます。子どもも生まれます。これをデフォルトと捉え、やり続けてさえいれば勝つ、という前提を信じるなら、やり続けられるだけの経済的・精神的な兵站の用意を最初にしてしまえばいいだけです。

それが、チームメンバーの家庭の安寧や子育てに適したエリア選定の意思決定の尊重から始まるチーム作りです。

そうは言っても離れているとマネジメントコストが…

という疑問には、僕がビジョナリーカンパニー2でくらったビンタを贈ります。

「だれかをしっかりと管理する必要があると感じるようになったのであれば、採用で間違いをおかしたのだ。最高の人材は管理を必要としない。指針を与え、教え、導く必要はある。だが、しっかり管理する必要はない。その後にどうなるかは、だれでも経験しているか見聞きしている。不適切な人たちがバスに乗っており、そのことは分かっている。だが、様子を見守り、決定を遅らせ、別の方法を試し、三回目、四回目のチャンスを与え、状況が良くなるよう期待し、その人たちをうまく管理する方法を試すために時間を使い、その人たちの足りない部分を補う小さな仕組みを作る。それ以外にもさまざまな手を打つが、状況は良くならない。自宅に帰っても、その人たちをどうすべきか考え込み(あるいは配偶者に愚痴をこぼして)、時間をとられている。悪いことに、その人に時間とエネルギーを費やしている分、指導や共同作業で適切な人たちとの関係を強めていくことができなくなる。一向に前進しない状況が延々続き、最後に本人が辞めていくか(重荷がなくなって一安心だ)、我慢しきれなくなって行動する(やはり、重荷をおろせたと一安心できる)。そのとき、周囲の適切な人たちはみな不思議に思っている。「もっと早く手を打てばよかったのに」と。」

『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』ジム コリンズ著

アフターコロナのリモート勤務VS出社論争は僕も結論はこれだと思います↓

採用の過ちと物理的コミュニケーションの議論をごっちゃにしてるだけだと思います。ほとんどが採用の過ちでしょう。

すなわち、採用で過ちをおかしにくい、あるいは採用の過ちを取り返しやすい体制を実現せしめれば、

「チームメンバーの家庭の安寧や子育てに適したエリア選定の意思決定の尊重から始まるチーム作り」

の成功確率は高まるとHANOWAの経営チームは信じているわけです。

社員か業務委託か

この話の流れで、物理的な距離に重きを置かなくなった時点で、関与する契約形態も連鎖的にどうでも良くなってきます。どうせ持たないならとことん持たないみたいな、もはや悪ノリです。ただ、管理されなくてもやる人が入ってきている時点で、大事なのは契約形態ではなくプロダクトやサービスに対する純粋なオーナーシップだけになってきます。

経営チームはさすがに把握してますが、実際にHANOWAのSlackに入ってる人たちで、お互いが社員なのか業務委託なのかステータスを分かっていない人はザラにいるはずです。それぐらい、情シス的にも、GWSのアカウント的にもあまり契約形態に差分はないです。
(さすがに監査法人が入る頃にはもう少し明確な線引きが必要とは思っている)

最近始めた企画として、月に一回僕がライブ配信的に先月の事業を振り返る時間を30分設けています。そこでは売上や利益、今の会社の現預金も契約形態に関わらず把握することができます。

そこからくる業務委託者1人最大4万円の旅費交通費

忘年会に話を戻します。

そんなフルリモートフルフレックス、業務委託も社員も線引きがあるような無いようなHANOWAの忘年会。

参加者にはどんな経済的負担が待っているのでしょうか。

九州の某エンジニア夫婦は子ども2名合わせて12万円の手当

負担どころじゃない。
なんなら上手くやればお釣りでUSJでも行けそうです。

もう一度言いますが大阪のルミディひらまつです。3,000円のランチとかじゃなく、コース+飲み放題も会社負担です。

(裏ワザ:メモワールドひらまつを使うと永年お会計が20%off!条件はひらまつで結婚式を挙げるだけ!)

太っ腹に見えますが、持たない経営はそれだけ月々の家賃も低いです。

明確な優先順位

もう一つ、僕には明確な優先順位があります。

  1. 自分の家族

  2. HANOWAで働く人

  3. HANOWAを使って働いてくれる人

  4. HANOWAを使ってくれる院長先生

  5. 株主

これらは、今の時点で僕にとって調達が困難な順番に並びます。

労働生産人口が増え続けた、かつての日本において、欠乏した資源は顧客やお金だったことでしょう。労働力は毎年増え続けていたわけです。

一方、労働生産人口が減り続ける現在において、欠乏した資源は顧客よりもお金よりも労働力です。

社長が大きい声で言うのも憚られますが、ユーザーよりも働いてくれる人の方が大事です。ユーザーや株主がこれを見ていないことを祈ります。

仕事は長期戦です

そして仕事はあくまで個人の人生の中の一部です。
多くの人にとって仕事は人生の三分の一以下の割合になります。

その8時間が質の高いものになるか、低いものになるかを司るのは、働かない16時間の質に依存します。睡眠が脅かされ、配偶者と喧嘩が絶えず、子どもから尊敬もされない人が、長期的に仕事で高いパフォーマンスを発揮できるでしょうか。僕は想像できません。

HANOWAで働く人が今日も安定的にHANOWAに対して労働力を提供してくれる。僕にとっての忘年会は、そんな土台作りに協力してくれる配偶者やお子さんに対してのアリガトウの場でもあります。

だから社員であれ、業務委託であれ、一切の後ろめたさなく家族を呼んできて欲しいと伝える理由もこの論理からは当然の帰結となります。

一つ一つで見た時、非合理的なワードたちかも知れません。

しかし僕の中では、長期戦に持続的に取り組めたらやがて勝つという命題を定めた時、全てが繋がって合理的なストーリーとなります。

別に世の会社経営のスタイルに批判があったり、普及したいなども思いませんし、この考えが正しいかどうかの答え合わせは時間が決めることでしょう。

ただ少なくともHANOWAを創業した人間の思考様式を開示して、その文化を推察する素材にして貰えたら幸いです。

あらい