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映画と僕

コロナによって一年延期となっていた『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争(リトルスターウォーズ)2021』がとうとう公開された。我が家では、既に自分以上のドラえもんオタクである息子(7歳)と、公開二日目に鑑賞してきた。

率直な感想としては、かなり良い出来だったと思う。

今回はリメイクシリーズだが、リメイクはどうしても原作や最初の劇場版と比べてしまうため、その違いが気になって作品に集中できないもの。しかも、リメイクでは余計な要素を加えて、質を落としてしまうことが多く、これまで何度も残念な思いをしてきた。

本作も新要素が加わり、原作からの改変も行われているが、概ね納得できたし、何より流れが自然だった。また最近よくある「泣かせよう」というじっとりした演出ではなく、わりとカラッとした原作に近いテイストでの映像化だった点も好印象を持った。

せっかくなので、本作の見所や、原作との改変ポイントについては、見た記憶の残っているうちに、別の記事でたっぷりと解説したいと思う。


本稿では、まだこのnoteにおいて、僕の映画への思いを書いたことがなかったので、少々取り留めのない感じになるだろうが、少し語らせていただきたいと思う。


映画との出会いは、やはり「ドラえもん」であった。

「ドラえもん」の二度目のテレビアニメ放送が始まったのが1979年の4月。僕が幼稚園に入園したタイミングで、いつから見始めたか定かではないが、すぐに「ドラえもん」にハマったようである。

そして「ドラえもん」が初めて映画化されたのが、翌年1980年春の『のび太の恐竜』である。この時僕は5歳で、既に相当なドラえもん好きだったため、当然のように映画館に連れて行ってもらったようだ。これが僕の映画館初体験である。

その後、毎年「ドラえもん」の映画は見続けて、大人になってから何本かは見落としているが、基本的に今年の「のび太の宇宙小戦争2021」までのほとんどを劇場で鑑賞している。


ただ、田舎住まいだったので、近くに映画館はなく、中学~高校ではほとんど映画館で映画を観たことはない。「魔女の宅急便」以降のスタジオジブリ作品や、「バック・トウ・ザ・フューチャー2&3」や「僕らの七日間戦争」や「ツイン・ピークス ローラー・パーマー最後の七日間」など、どうしても見たい作品だけ選んでいた。

転機となったのは、大学生となり上京してからだ。たまたま知り合った友だちがみんな映画好きだったことから、話についていくためにも、映画館に頻繁に通うようになった。

そして都内では、「名画座」と呼ばれる二本立て・三本立て・オールナイト四本立てといった、お安くまとめて見ることのできる映画館の環境があった。金はなく時間は持て余した自分にとって、名画座巡りは願ったり叶ったりの日常となった。


もともと物事にハマると深くまでのめり込んでいく性格だったため、20歳くらいからは、映画漬けの日々一直線となる。映画を観て、原作を読んで、感想をノートに書いて・・。映画におけるインプットとアウトプットを猛烈に回していった。

「ぴあ」を火曜日に買って、次の週末の映画のスケジュールを考えて、毎週のようにオールナイトに出向く。大学生時代は映画館で年間300本程度を見た。これにプラスして、昔の名画をレンタルビデオで片っ端から見ていった。


さらに「キネマ旬報」という映画雑誌を定期購読するようになり、映画評論家の文章を積極的に読むようになった。一つの作品を語るためには、その監督のフィルモグラフィを理解し、原作を読み込み、テーマとなる事象の背景を探る必要があることを知った。生半可の知識や浅い考察では、読者の膝を打つような評論は書けないのである。

簡単に言えば、映画一つを語るには、教養が必要なのである。

これは、小説でも演劇でも絵画でも、同じことが言える。教養を身に付ければ身に付けるほど、その作品の全貌を読み解くことができるようになるのだ。

もちろん、僕自身が何かを生み出せるような人間だったら、こんなことは考えなかっただろう。創作できないものの悪あがきと考えてもいい。けれど、そのコンテンツを余すことなく楽しむには、享受する側にも努力が必要なのは事実だ。


そして「キネマ旬報」に話を戻すと、毎年2月に前年の映画界総決算号が発行されるのだが、これが僕の中で、最も楽しみな一冊となった。邦画・洋画のランキングに加え、業界の内部事情についての記事がとっても刺激的だった。

映画会社の決算状況、人事情報まで掲載されており、これを読むことで、映画を観客に届けるまでには、リアルな「仕事」が存在することを理解したのである。


僕がエンタメコンテンツ業界を目指そうと思ったきっかけは、「映画」であり、「キネマ旬報」だった。僕が大学時代までに浴びてきたエンタメ。映画・小説・ゲーム・テレビ・海外ドラマ・アニメ・お笑い・・・。そうしコンテンツをユーザー・消費者に届ける仕事があって、その仕事に従事する人間がいる。

そうしたことを意識して、僕は居ても立っても居られなくなった。もっともっとエンタメのビジネススキームを知りたくなったし、そこに身を置く自分を想像して、胸が高まった。

ただし、実際にエンタメコンテンツ業界で働くようになるまでには、そこから長いドラマがある。けれど、映画にハマったことで、道が開けたのだと今では思っている。


さて、せっかく映画の話題をしたので、昨年末あたりから映画館で観た作品を列記しておこう。2月前半はコロナに罹ってしまったので、この間外出できなかったのは痛かった。。是非3月以降は挽回していきたい。

「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」
スパイダーマンの熱烈ファンとしては、これ以上ない大傑作でした。どこかでこれまでのスパイダーマンの映画8作をまとめた文書を書いてみたい。

「ドライブ・マイ・カー」
前半の村上春樹ワールド、後半の「ワーニャ叔父さん」を作り上げる過程、全編を通じて滲み出る言いたいことを言いたいときに言えない人間たちの苦しみやもどかしさ。3時間心を揺さぶられ続ける傑作です。

「グッバイ、ドン・グリーズ」
田舎で仲間に打ち解けられない少年たちの、ひと時の大冒険。自分の境遇とも重なるところが多く、興味を引かれて観たのだが、ちょっと期待した方向性ではなかった。

「355」
それぞれ利害関係がぶつかる世界各国のスパイ組織。組織に所属する世界五か国の女性スパイがいつしか団結して、巨悪へ挑む。・・と書いたものの、巨悪が少し弱い。アクションも、あともう少し見たかったなと。

「アンチャーテッド」
あまり予備知識なくトム・ホランド目当てで見たが、トレジャー・ハンティングの王道を行く痛快作だった。裏切りや騙し合い、謎解き、アクショ、キャラクターの掛け合い。どれも楽しく、続編に大いに期待したい。

「真夜中乙女戦争」
二宮健監督前作の「チワワちゃん」があまりにフレッシュだったので、新作も期待して鑑賞。ジャニーズ映画とは思えないダークでアンニュイな世界観で、時おり疾走感も混じるというあまり類を見ない作品だった。

「私はいったい、何と闘っているのか」
安田顕さん演じるスーパーの副店長が、モノローグ主体に心の中の喜怒哀楽をにじみ出していく、悲哀混じりのコメディ。共感を呼ぶ心の声は、笑えるし泣ける。

「キングスマン:ファースト・エージェント」
マシュー・ボーンの作家性である、コミック的でもあり、妙なリアルも感じさせる独特なシリーズの新作。本作もそのテイストなのだが、実際の歴史の事実とリンクさせるように作られたためか、少々はっちゃけが足りない。


今回は以上です! まとまりなくすみません。

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