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パーマンとブービーの大活躍・ピストル密輸団編/考察パーマン③後編

本日のテキスト:
『バナナと拳銃』

「小学三年生」1967年2月号/藤子・F・不二雄大全集3巻
本稿のポイント:
★ブービーはやっぱりバナナが好き
★ピストル密輸団との対決の行方は?
パーマンとブービーの凸凹コンビぶり発揮!

パーマンとブービーの二人だけの活躍を描いた回を見てきたが、本稿がその第三回目、最終回となる。これまでの記事はこちら。

『バナナと拳銃』
探し物の名人ブービーが、おもちゃのピストルを拾ってくる。ところがこれが本物。朝刊によると、近ごろ大量のけん銃が外国から密輸されて暴力団に出回り、警察が捜査中という。拾ってきた銃と密輸は繋がっているのでは、ということで、パーマンは事件に乗り出すことに。

『パーマンに水難の相』でも敵はヤクザだった。おそらくこの時代の頃から、暴力団の事件が急増していったのではないかと想像される。

ブービーが拳銃を見つけた場所へと飛ぶ。そこは横浜の港であった。見張って密輸団が現れるのを待つことに。みつ夫は、

「いよいよパーマンが、本物の悪者と対決する時がきた。胸がドキドキするなあ」

と興奮を隠せない。

待つ間、ブービーはマスクの中におやつのバナナを仕込んでおり、それおもむろに食べだす。おやつが羨ましくなったみつ夫は、ブービーに持ち場を任せて家に帰り、残しておいたたい焼きを食べるのであった。

すると、ガン子に見つかってしまい、パーマンとガン子で会話をすることに。ガン子はパーマンのファンだと言うのだが、その理由は

「強くって颯爽として、のろまのお兄さんなんかとは正反対だもの」

と兄のみつ夫に対して手厳しいものだった。パーマンとして尊敬され、みつ夫としてバカにされる。こうした相反する評価に、今後もみつ夫は悩まされることになる。

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さて、2号の元に戻ると、その姿がない。そこにバナナの皮が一枚、少し離れたところに一枚・・・。利口なブービーはバナナの皮を目印に、パーマンにピストルを拾った男の場所を知らせていたのである。

地下室の入り口までたどり着き、階段を降りていくパーマン。するとブービーがいて、遠くに男がピストルの買い手を待っている様子が伺える。ピストルの取引までパーマンたちは待つことにする。

するとバナナ切れのブービーは、何と動物園にバナナの補充に帰ってしまう。ブービーのバナナ好き、恐るべし。

そこで、一人漫画を読みながら取り引きを待つパーマン。ところが熱中して読んでいる間にピストルの買い手たちが現れ、取り引きが始まってしまう。あろうことか、漫画で大笑いをして、密輸団に見つかってしまうパーマン。

一方的な銃撃を受けたパーマンは、弾を逃れて飛び上がるが、頭を天井の柱にぶつけて気絶してしまう。・・・気が付くと縄で縛られていて、銃で撃たれる直前であった。

ここからは、パーマン余裕の大活躍。縄を簡単に切って、わざと鎖で再度縛られるのだが、そこで縛り付けられている鉄骨を引き抜いて、ギャングたちの頭に叩きつけて、あっと言う間に一網打尽にしてしまう。


ギャングを逮捕しにきた警官たちに、「君が一人で捕まえたのか」と感心されるが、まだ知名度は低いようだ。そこに集まる新聞記者たち。バナナを手にようやく戻ってくるブービー。

カッコよく帰ろうぜ、とパーマンは気取って歩き出すが、ブービーが投げ捨てたバナナの皮で、ステンと転んでしまう。そこに鳴るシャッター音

翌日の新聞には、パーマンが滑って転んでいる写真が一面に大きく掲載されてしまい、悔しがるミツ夫であった。


本作では、ブービーは最初の拳銃を見つけたり、取り引きの場所までパーマンを誘導したりと活躍を見せるが、最後は好きなバナナを優先するという猿らしさも発揮する。

みつ夫は巨悪との対決に奮い立つが、最後までカッコよくいかない。二人それぞれの個性と、二人合わさった時の凸凹コンビぶりが笑える一作となっている。​

数回に渡ってパーマン+ブービーの活躍を見てきたが、ひとまずこの話題はおしまい。ついに次回の考察ではパー子が登場予定。いよいよパーマン考察の本題に入っていくので、書くのが楽しみです。


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