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正月ストーリーを一挙紹介!/お正月だよ!ドラえもん祭り 1日目

藤子F作品は、月刊の学年誌を主戦場にしていたこともあり、季節感のあるイベントを題材に選ぶことが多い。勝手に3大季節イベントを上げるとすれば、①お正月②エイプリルフール③クリスマス となるだろう。

③のクリスマス作品については、既に4回に渡って考察を終えている。
②のエイプリルフール(四月バカ)については、その頃になったら取り上げてみたい。
①お正月作品について、本日からは複数回に渡ってじっくりと見ていきたいと思う。

今回は、F作品の中でもとりわけお正月エピソードの多いドラえもんに焦点を当てる。「お正月だよ!ドラえもん」と題して、思いつくまま書き綴ってみようと思う。


『未来の国からはるばると』
「小学四年生」1970年1月号/藤子・F・不二雄大全集1巻

まず、記念すべき「ドラえもん」の初回「未来の国からはるばると」は、1月号掲載ということもあって、お正月のエピソードで始まっている。

のび太が寝そべって餅を食べながら、「今年はいいことがありそうだ」と独り言を口にすると、

「いやあろくなことがないね」
「野比のび太は、30分後に首を吊る、40分後には火あぶりになる」

と、とんでもなく縁起の悪い内容の声が聞こえてくる。当然のび太は「誰だ!」となるのだが、すると机の引き出しから「僕だけど」とドラえもんが現れるのである。

「ドラえもん」は、「小学四年生」「小学三年生」「小学二年生」「小学一年生」の学習誌4誌での同時スタートだったので、それぞれにドラえもん登場エピソードがあるのだが、これら全てお正月に関するエピソードが含まれている。

印象深いところでは、「小学三年生」の初回『机からとび出したドラえもん』で、冒頭のび太がパパとママからお年玉をもらい、それを机の引き出しに投げ入れると、セワシくんが「いいなあこんなに貰って」「それにくらべて僕なんか50円だよ!」と怒りながら登場している。


ちなみに、「パーマン」少年サンデー版の初回もお正月の年賀状の話題で始まっていた。

また、「オバケのQ太郎」も各学年誌の初回は1月号であったため、お正月を踏まえたエピソードが多数描かれている。なぜか藤子作品は、お正月スタートの作品が多いのである。

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『のび左エ門の秘宝』
「小学四年生」1971年1月号/藤子・F・不二雄大全集1巻

続けて「小学四年生」1971年1月号掲載『のび左エ門の秘宝』では、のび太のパパがお年玉を庭に隠して、そのありかを宝探しのように書き物に従って発見する、というところから始まる。

そして、本当の宝探しがしたい、ということで野比家に残された6代前の先祖が残した文献を手掛かりに、タイムマシンで過去に戻って宝を探す、という夢のある作品となっている。

この作品は、野比家の祖先・のび左エ門とせがれののび作が登場する、野比家ルーツ巡りの重要回であることを付記しておきたい。

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なお、「オバケのQ太郎」でもこれとよく似た展開のエピソードがある。『為左衛門の秘宝』(「月刊別冊少年サンデー」1965年1月号掲載)というタイトルもそっくりなお話で、こちらはお年玉を貰いにおじさんの家に行き、お年玉の代わりに宝の古地図を渡され、それを探すというもの。

他にも宝探しをテーマとした作品は多数あり、藤子F先生の好きなモチーフであったのだろう。


『いやなお客の帰し方』
「小学六年生」1974年1月号/藤子・F・不二雄大全集1巻
初掲載時タイトル「招かれざる客」

お正月色はやや薄いが、『いやなお客の帰し方』もインパクトの強い一作。

お正月で寝転がってのんびりしていると、突然現れたおじさんに、「真っ昼間からゴロゴロして!マラソンでもやってきなさい」と起こされる。このおじさんは、のび太のパパの社長さんで、自宅に居るのが嫌で野比家に逃げてきたという。この社長、人の家で威張り散らすイヤな奴で、何とかしてのび太たちはこの男を追い返そうとする。

色々な道具を使って家へ帰らせようとするのだが、その中で「ゴーホーム・オルゴール」というカエル型のオルゴールが出てくる。このオルゴールは、そのメロディーを聞くと家に帰りたくなる、という効果がある。ところが、しぶとく社長は布団にしがみついたりして帰ろうとしないのだが、そのメロディーを聞いていたのび太のママが、荷物をまとめて出かけようとする。パパがどこに行くのかと聞くと、

「急に実家へ帰りたくなって・・・。長い間お世話になりました」

と、野比家に離婚の危機が訪れてしまい、慌ててオルゴールを消すのび太とドラえもんであった。

なお、本作の掲載時タイトル『招かれざる客』は、1968年日本公開のハリウッド映画・スタンリー・クレイマー監督、キャサリン・ヘプバーン主演の同名タイトルから得たものである。

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『かべ紙の中で新年会』
「小学一年生」1971年1月号/藤子・F・不二雄大全集3巻
初掲載時タイトル「しん年かい」

のび太が新年会を家でやろうと友だち大勢を呼ぶのだが、ママはもっと広い家でやりなさいとOKを出してくれない。そこで、「かべ紙」を貼って、その中の広いスペースで新年会を開く、というお話。喫茶店やおもちゃ屋のかべ紙を出して、楽しくみんなで思う存分食べて遊ぶ様子が、幸せな気持ちにさせてくれる一作だ。

クリスマスエピソードである「重力ペンキ」と、お話の構造はよく似ている。


さて、ここまで4作品見てきたが、これはまだ序の口。次回に続きます。

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