WeTV(腾讯视频)に日本語字幕がついたけど思った以上に酷かった
最新中国ドラマが日本語字幕で観られるらしい
中国語の勉強の一環としてときどき中国ドラマを観るのだが、日本語字幕付きで観れるドラマなんてほんの一握りで、最新のドラマにはまず日本語字幕は付かない。
流行の最新ドラマを中国の友達から教えてもらっても、泣きながら中国語字幕を追うしかなく悔しい思いをしたものだ(それはそれでいい勉強にはなるのだが)
それがこれだ。テンセントの動画視聴サービスWeTV(国際版)が公式に日本語字幕に対応したという。かなりの朗報。
日本のマーケットがそんなに重要視されているのか?と疑問に思わなくもないが、観る側としては字幕が追加されたことは確実にいいことなので喜んでおくべきだろう。
早速アプリをインストール
アプリをインストールしてみると、確かにサムネイルの中に日本語タイトルのものがある。
ほとんどのタイトルにはVIPのマークがついており、第5話までは無料で見られるようだ。後は有料会員になる必要がある。
会員になろうとするとこんな画面が出てくる。一見割引されているようで値段が全く変わっていないところがハオみたっぷりだが、最新のドラマが字幕付きで観れるならそんなに悪くない値段に思える。
実際に見てみるとなかなかのクオリティ
試しにストーム(小风暴之时间的玫瑰)という作品を観てみた。
問題なく日本語字幕が表示され、内容も理解できる。これは確かにありがたい。
しかししばらく見ていくと、明らかに日本語ネイティブではない人が訳したことに気づく。中国語のまま翻訳されていない箇所もあった。
典型的な非ネイティブが間違えがちなミスが盛りだくさん。特に会話文はかなりたどたどしい。意味を読み取ることは十分可能だが、日本で見る日本語字幕とのクオリティの差は歴然だ。
「やっつけ」というか素人レベル
字幕翻訳の元プロでもある徳久圭氏のブログ記事ではこう言及されている。
もともと日本語の字幕は一瞬の時間における可読性を考慮して「1秒間に4文字」(例外あり)という大原則がありますが、こうした字幕ではほとんど考慮されていません。
また表記の面でもほとんど工夫は行われていません。ひらがなばかり、あるいは漢字ばかりが連続する文字列をできるだけ回避するとか、同じ助詞の繰り返しを避けるとか、長い字幕でも二つの「ハコ(一枚一枚の字幕)」に収めて間を「ーー」でつなぐとか、一度に二人以上の発言を字幕化しない(どちらかを「オフ」にする)とか、そうした従来の字幕翻訳のルールは、ここでは存在しないにも等しい状態です。
つまり、日本語字幕としての大原則やノウハウを完全に無視した「やっつけ仕事」である、という評価だ。そしてその結果ドラマ作品自体の価値も損なっている、と。まったくもってその通りだ。
個人的には「やっつけ仕事」にも至っていない「素人仕事」であるように感じた。翻訳のクオリティは明らかに翻訳家と呼べるレベルではない。日本語能力試験のN1には合格しているかもしれないが。。。というレベルだろう。
これが現実
先のブログで徳久圭氏は「倫理観の抜けた安かろう悪かろう」が広まっていることを危惧されている。一線のプロとして思うことがたくさんあるのは当然だろうし、それが日本語字幕のあるべき姿だろう。
しかしながら現実はこの通りだ。
明らかに専門の翻訳家ではない、日本語字幕のルールもノウハウも知ったこっちゃない人達が提供している。嘆かわしいことではあるが、これは「まずはやってみる」という中国企業のやり方がよく表れている。西洋風に「スモールスタート」と言い換えてもいい。
Amazonが日本国内の物流で苦労しているように、外国企業のサービスが日本独自の文化やルールの理解に手間取ることはよくある話である。
企業側もいろいろと模索しながら改善していくのだ。いきなり100点満点を求めるのは酷だろう。
利用者側としてできることといえば、日本語字幕の需要があることを知らしめ、今の字幕クオリティが低いことをアピールすることだろう。日本語字幕のニーズがもっとあることが分かれば更に字幕へ予算が割り当てられるかもしれない。
または、これまでにない解決方法がとられるかもしれない。例えば中日辞書「北次郎」では有志によって新しい単語が登録される仕組みがある。
これと似た仕組みを導入し、字幕がおかしい箇所をユーザーが指摘、修正できるようにすれば、プロレベルとまではいかないにせよ、一目で誤りとわかる誤訳を修正することはできる。
追記:本当に実装されました↓
とにかく一歩前進
客観的に見れば、これまでになかった中国最新ドラマに日本語字幕がついたという点は評価されるべきだろう。字幕のクオリティには改善の余地が多いことは確かだが、まずは一歩前進したことに喜びたい。
で、「百歳之好,一言為定」の本編公開まだですかね…(´・ω・`)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。 頂戴したサポートは今後の活動に充てさせていただきます。 今後ともよろしくお願いします。