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DXってたいしたことない

「リスキリングが必要」と言います。本来リスキリングの意味は「他分野で働く知識を身に付けること」なのですが、現在は「DXを身に付ける」と同義語になっています。他方、50代を中心に未だ相当数の人はデジタルを敬遠しています。
「諦める必要はありません!DXまだ間に合います!」今日のテーマです。

要約
イノベーションの初期には新技術(機械)を使いこなせる人は少なく、熟練工の囲い込みが行われます。これを「熟練工過程」と定義します。現在のDX革命は熟練工過程にあり、DX熟練工を獲得するため会社は高賃金で囲い込もうとしています。ならば、DX人材になって“囲い込まれる側”になりませんか?DX熟練工になるのは難しくても、DXを理解して使いこなすレベルであればハードルはそれほど高くないので、チャレンジしてみませんか?

(1)イノベーションが一般化される過程
第1次産業革命は、紡績業で始まりました。服を作る糸は、綿や絹を撚って(よって=細長くねじって)糸にします。この作業を自動化し大量生産することが求められる中、1779年に英国でミュール紡績機が発明されました。従来の機械に比べ細くて強い糸が大量製造出来、瞬く間に拡がりました。
ところが、この時のミュール紡績機は完全自動ではなく、一部作業に熟練工が必要でした。

熟練工は自動化されない工程を工場経営者から請負い、労働者を雇って作業を指揮しました。これを「内部請負制度」と呼びます。熟練工は自らの技術(経験)を工場経営者に高く売ります。

1830年に自動ミュール紡績機(ロバーツ織機)が発明され、1850年代にほぼ全てが自動化され、一般労働者が工場経営者に直接雇われ作業をするようになりました。同時に、不要となった熟練工は紡績業から消えていきます。

(2)イノベーションの一般化過程
「革新的な技術を使った機械が発明」
⇒「機械が誰でも使えるように一般化するまでは、機械を扱える熟練工が高収入を得る」
⇒「誰でも使える機械に改良され、一般労働者が使えるようになり熟練工は消える」
こうしてイノベーションは一般化されます。

(3)第3次産業革命でのイノベーションの一般化過程;エクセル
1990年代からパソコンが普及していく中で、様々な表計算ソフトが出現しました。「Lotus1-2-4-2」や「Multiplan」は私も使いましたが、使いこなせる人は限られていました。結局、使い易さに優れる「エクセル」が残りました(エクセルはWindowsに搭載されていたから普及したので使い易かった訳ではない、との意見もありますが、私は使い易かったからだと思います)。
今やエクセルは一般化され、パソコン教室に行って習えば誰でも使えます。

(4)DX革命の現在位置
AI、仮想現実(VR)等を中心にDX革命が始まっていますが、「イノベーションの一般化過程」では「熟練工過程」です。

(5)DX人材になって“囲い込まれる側”になりませんか?
では会社はどう考えるか。「社員を熟練工にすればいいじゃないか」ですね。社員も「私は熟練工、賃金高くてもいいですよね」と言える。実際、DX人材採用に好条件を出す会社は増加しています。

「私には無理」と思っている方、DX革命は始まったところ、ほとんどの人のスタート地点は同じです。

デジタル難民だった私はシステム担当となり、1年で実務はこなせるようになりました。半年かけてITパスポート試験を受け、何とか言葉は理解できるようになりました。DX熟練工とは言いませんが、少なくともDXを理解して使いこなすことは出来ると思っています。

身近なところからスタートしては如何でしょうか?
“YouTuber”立派なDX人材だと思います。会社のホームページにYouTubeをリンクして会社のPRをする~まさにDXですよね。SNSを使いこなす、でもいいと思います。ITパスポート試験とまでいかなくても、高校の教科書「情報Ⅰ、Ⅱ」を読んでみるのも手軽でいいのでは。学校の教科書に書かれている内容は、国が認定した「DX人材に必要な要素」が分かりやすく書かれています(現在、教科書を購入して読み始めたところです。Amazon中古品なら1,000円以下でも購入可能です)。

ご参考にしていただければ幸いです。では次回

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