見出し画像

利用者の立場で成年後見人の実際を勉強しました

こんちは!副業社労士まさゆきです

離れて一人暮らす親が入院しました。キャッシュカード、暗証番号、印鑑の記憶が曖昧で入院費は立て替え払いの必要があります。近くに親族がなく、成年後見人にお金の管理と介護の手続をお願い出来ないか、弁護士さんや地域包括支援センターに相談しました。知識不足の私、利用者の立場で勉強した結果を書きます。

【成年後見人は何をする?】

「認知症等になった成年の代わりに財産管理し後見する」のことです。認知症の親を老人ホームに入居させる金は子供でも銀行から勝手に引出せず、老人ホームどころか日常生活にも困ります。「キャッシュカードと暗証番号が判れば引出せる」本人の委任なしなら違法ですし相続人が多いと後で相続の際揉めます。家庭裁判所が選任し財産管理状況も確認する成年後見人なら揉め事を回避できます。
一人暮らしの場合、認知症になれば助けてくれる人が必要、成年後見人が必要です。

【成年後見人に出来る事出来ない事】

成年後見人に出来る事は「財産管理」と「身上監護」です。「身上監護」は病院での治療・入院手続支援、介護契約の締結、要介護・要支援認定の申請、住居を確保する契約の締結、老人ホーム等への入所・退所契約の締結、リハビリ契約の締結、見守り行為等を指します。手続のため郵便物の管理、運転免許証・マイナンバーカードや健康保険証等の各種保険証、障害者手帳、年金手帳も管理します。

成年後見人が出来ない事は「事実行為」と「身分行為」です。
事実行為とは労務の提供です。施設から病院への送迎、買物、掃除、洗濯、本人の介護・入浴介助・食事を作る等を指します。
身分行為とは、養子縁組、婚姻届、離婚届、子の認知等の届出をする行為です。遺言書作成も含まれます。

【法定成年後見人の選定手続き】

成年後見人には、法定成年後見人と任意成年後見人の2種類があります。
法定成年後見人は、認知症になった後、親族が家庭裁判所に申立を行い、家庭裁判所が選定します。
申立には以下が必要です

1)主治医による「判断能力低下の程度の“見立て”」書:判断能力には「後見」「保佐」「補助」の3区分があります(判断能力で、成年後見人は「後見人」「保佐人」「補助人」に分かれますが、今回はまとめて「成年後見人」と呼びます。詳細ブログ参照)
後見人・保佐人・補助人の違いとは?権限の違いをわかりやすく解説 (shintaku-souzoku.jp)

2)成年後見人候補者名簿:成年後見人は家庭裁判所が選定しますが、候補者名簿は尊重されます。

3)親族の同意書:全ての法定相続人に対し、2)の各候補者に対する賛否を聞きます。

これらを元に家庭裁判所は成年後見人を選定します。通常は1~2ヶ月で選定が終了します。

選定された成年後見人は、年1回活動内容を家庭裁判所に報告します。報酬は、活動報告を元に被後見人の生活に支障がない範囲で家庭裁判所が決めます。相場は2万/月程度です。

財産管理等を任される成年後見人には、弁護士、司法書士、社会福祉士、社労士等の専門家が選定されるケースが多い。財産(流動性が高い現金預金等が対象、不動産は対象外)が1000万円以上だと、家庭裁判所の選択は“専門家”です。「2000万円以上は弁護士さん」の例が多いと聞きました。

「専門家はどこで探すの?」私は「現場で聞くのが一番」と地域包括センターに相談し紹介してもらいました。

【任意成年後見人として親族を選定するメリットデメリット】

「信頼する人を後見人に選びたい」任意成年後見人を利用する人もいます。
任意成年後見人は、元気な間に成年後見人契約を結び、認知症等になった際、家庭裁判所の選任を経て成年後見人の活動を開始します。便利なようで難点もあり…

1)特定親族に財産管理を任せるのは揉め事の元
遺産相続は人を変えます。相続人が多数いる中で法定後見人に親族を選ぶのは揉め事のもとです。

2)費用は安くはならない
「親族に頼めば法定成年後見人費用は不要」いえ、任意成年後見人を監視するため“任意後見監督人”が選定され、裁判所に代わり不正を監視します。任意後見監督人の費用支払いが必要で(2万/月よりは安い)費用削減目的ならあまり意味がありません。

3)財産が多い場合、家庭裁判所が親族選任を渋る
法定成年後見人同様「1000万円以上は専門家」と家庭裁判所は考えます。財産が多い場合、任意成年後見人の権限を絞る目的で権限を生活に必要な財産に限定し、残りは「成年後見人制度支援信託」に預託させることもあるそうです。

勉強になりました。ではまた次回

いいなと思ったら応援しよう!