相反する2つのラジオ、魅力が溶け合うカオスなコラボ シェア街文化祭「激戦!歌バトル」イベントレポート
音楽ライブでは「対バン」という企画があります。複数の出演者が入れ替わる形でステージに立つことで、それぞれの魅力に相乗効果が生まれ、新たなファンの獲得につながることがあります。「シェア街ラジオ」と「Drain Dormitory」という2つのラジオ番組が出演したシェア街文化祭での「激戦!歌バトル」は、まさにそんなイベントとなりました。
視聴者のリクエスト曲をお互いが交互に歌って対決する「ルール」
2021年5月5日にあった「シェア街文化祭」で開催された今回の企画は、ネット上で展開される2つのラジオ番組が、対抗する形式の歌バトル。視聴者のリクエスト曲をお互いが交互に歌って対決する、という「ルール」でした。
シェア街ラジオは、ひみずまりさん(以下まりさん)と日置ノリオさん(以下ノリさん)をパーソナリティーに、シェア街の住人、関係住民の方々をゲストに迎え、ほのぼのと対談するラジオです。シェア街のFacebookページにてライブ配信をしています。
対するDrain Dormitoryは、「入居率190%を超える」「駐車場で暮らしている人がいる」など、謎の噂が絶えないカオスなシェアハウス「モテアマス三軒茶屋」の住人2人が、日常のあれこれを届ける自由なラジオとなっています。
全く個性の異なる2つのラジオ番組の対決は、一体どのような化学反応を生んだのでしょうか。
登場から強すぎるクセに圧倒される人々
オープニングで登場したのは、シェア街ラジオのまりさんとノリさん。ノリさんは今回、カホンの演奏を担当します。さらにサポートメンバーとして、ギターのぽっぽさん、コーラスのみむさんが加わり、演奏はばっちり。
次いで、対戦相手の登場です。
まりさん:お呼びしてもいいですか?ちょっと怖いんですけど……。
ノリさん:心の準備が必要なんで。見ていただいたらわかると思うんですが……。
一抹の不安を抱くシェア街ラジオチームの前に現れたのは、一方が汚れたランニングシャツにヘルメット姿、もう一方が白ジャージにハチマキとサングラス姿という攻めすぎた格好の2人。
登場から凄まじいインパクトを放つこの2人こそ今回の対戦相手、Drain DormitoryのBokuzonoさん(以下ぞのさん)と星野源さん(自称)(以下源さん)です。
ぞのさん:嫌われてなんぼみたいな感じで、今日も退去覚悟で来たんで。なので、皆さんとお会いするのも最後だと思うんですけど。
何やら相当な覚悟で臨むというDrain Dormitoryの2人。
シェア街ラジオを飲み込まんばかりの存在感が周囲に不安を漂わせる中、歌バトルは幕を開けました。
いきなりの「ルール無視宣言」で歌バトル開幕!
ぞのさん:僕らあんまり歌がうまくないんですよー。なので、リクエストもらっても歌えないかもしれないんですけど。
いきなりルール無視を宣言するぞのさん。
そんなDrain Dormitoryチームの先攻で、バトル開始です。
曲は、THE BLUE HEARTSの「TRAIN-TRAIN」。
ぽっぽさんのかき鳴らすギターに、2人の魂の叫びのような歌声が重なります。
リモート演奏であることを感じさせない熱量に、圧倒されるシェア街ラジオチーム。
まりさん:大丈夫かなぁ。この後に続くの不安になってきた……。
ノリさん:歌バトルなんで、一発かまさないとシェア街が飲み込まれちゃいますよ!
いきなり押され気味の後攻、シェア街ラジオチーム。
なんとかいつもの穏やかな空気感を取り戻そうと選んだ曲は、あいみょんの「マリーゴールド」。
まりさんの歌声に、みむさんのハモリが心地よく響きます。
と思いきや、アウトロでぞのさんが突然乱入。
歌バトルはどんどんカオスな展開になってきました。
ルール完全無視の大合唱、そして驚きの展開へ…
再びDrain Dormitoryチームの順番です。
曲は視聴者のリクエストで、レミオロメンの「3月9日」。
ここで、ぞのさんから提案がありました。
ぞのさん:僕たち、戦いたいわけじゃなくて、ラブ&ピースを目指しているんで。なのでどっちかが歌うんじゃなくて一緒に歌ってラブ&ピースになれればいいかなと思って。
一同:おおーー!
まりさん:なんか、急に良いこと言ってくれましたね。
ノリさん:気づいてました?完全にペース作られてますよ。
Drain Dormitoryのカオスなノリに支配されつつも、全く噛み合わない両チームに一瞬だけ「絆」のようなものが芽生える展開に。
歌バトルのルールは完全無視ですが、歌い終わる頃にはまるで、文化祭を思わせるような高揚感と一体感が一同を包みました。
両チームが手を取り合った特別ラウンドの後は、再びDrain Dormitoryチームが歌うことに。
視聴者のリクエストを完全無視で選んだ曲は、THE HIGH-LOWSの「日曜日よりの使者」です。
しかし、源さんの掛け声とともに始まったのは、全く違う「テレタビーズのテーマ」。
何でもありの展開に、半ばヤケになる一同。
最後には、まりさんも一緒に歌ってしまい、もはや誰にも止められません。
そして曲が終わると……、
源さん:以上、星野源でした!
ぞのさん:Drain Dormitoryでしたー!
挨拶とともに席を立つ、Drain Dormitoryの2人。
なんと、コーナーの時間を30分以上残して帰ってしまいました。
まりさん:えっと……帰っちゃいましたね……。
ノリさん:これは俗に言う「放送事故」ってやつですね。
衝撃の展開に、まりさんとノリさんも驚きと動揺を隠しきれません。
ここからはますます「歌バトル」ではなくなってしまいましたが、ようやく戻ってきたシェア街ラジオのゆるーく和やかな雰囲気に、安堵の空気が流れます。
ノリさん:シェア街の流れを取り戻せるかは、視聴者のコメント次第です!僕らを取り残さないでくださいね!
まりさん:私達を助けてください。
続いて歌うのは、菅田将暉の「さよならエレジー」とOfficial髭男dismの「Pretender」。
まりさんの歌声とみむさんのハモリが、こころなしか先程よりのびのびと聞こえてきます。
波乱万丈の歌バトルもついに終結
今回の企画もそろそろ終盤。
最後はスピッツの「チェリー」と椎名林檎の「丸の内サディスティック」でお別れです。
ノリさん:頑張った僕に拍手をお願いします!
まりさん:さすがノリ!キュンとした!というわけで……。
ノリさん:今の切り替えで、どれだけ感想に中身が無いかわかるんですけどね……。
いつものシェア街ラジオと同じく、最後まで絶妙な距離感の2人。
嵐のような怒涛の展開を繰り広げた歌バトルも、なんとか終わりを迎えることができました。
穏やかなテンションとゆるーい空気感が持ち味のシェア街ラジオと、強すぎる個性と予測不能の危険なノリで独自の世界観へと引き込むDrain Dormitory。
今回の「対バン」はカオスな中で、そんな相反する2つのラジオの魅力が際立ち、そして溶け合うイベントとなりました。
今回の何が起きるかわからないハラハラ感や熱量、一体感は、コロナ下の私達が失いかけている「文化祭」の楽しさを思い起こさせてくれたのかもしれません。
【クレジット】
編集:Atsushi Nagata Twitter / Note / Youtube
執筆:小池達也
写真:提供写真
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