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シェアハウスの審査・契約書はどうする?

契約・審査について考える

以前の記事の通り、シェアハウス業がいよいよスタートしました。

当時そもそもシェアハウス自体が相当マイナーな存在でこの賃貸物件を見つけて住みたい
という人はほぼ海外滞在経験者、あるいは安い家賃を求めて流れ着いた方、外国人の方の3通りでした。

当時唯一あったポータルサイトに掲載をしてもらい入居者の募集開始です。
大体ですが、新しい物件をスタートしたとき、1か月は連絡はありません。
他の事業も同じだと思うのですが、1ヵ月間は存在が知られていない状況であり焦っていてもお客さんはやって来ませんので気長に待ちましょう。

私も20件以上の物件立上げに携わりまた他の事業でも同様でしたので
慣れてしまいましたが初めての方も1ヵ月間は様子見していて問題ないと個人的には思います。

そして徐々に内見希望の方がやって来ます。
案内して説明、入居者が気に入れば審査、契約へと流れていきます。

当時いろいろ教えてくれたシェアハウスのパイオニアのような方が

”審査で人きちんとを選んで決めないとシェアハウスは大変なことになるよ”

とおっしゃっていましたが、当時の私達は初心者+部屋を埋めなければならないという焦りから希望者は構わず入居させていました。

そんなにクオリティの高い物件ではなく
審査があってないようなもの、当時英語の離せない私はとにかく外国人もオッケー、契約書も非常に簡易的なペラペラのものでしたが、誰彼構わず入れると満室にはなります。

一応目標は達成です。

ですが、この後様々な問題が起こります。

そもそも前任の方から受け継いだ時点で怪しいと思われる箇所を修正したほうがよかったのですが、当時そこまで気が回らずそのままルールや契約書を使用して入居者を入れていました。

起こった問題を下記に記載します。

ルールの決め方がアバウトすぎて入居者からクレーム。
以前から住んでいた方は顔見知りである意味団結力があったため一つの村のような形で平穏が保たれていました。(前管理人が管理をなにもしないため)
ある意味逆に入居者のほうがしっかりしていたのです。

例:共用部の使用時間は決まっていたが(夜12時迄)新しい入居者に浸透しておらず、こちらから住んでいる入居者への新規入居者の紹介等もしなかったため、人間関係が構築できず夜間の使用についてこちらへクレーム。注意を促すものの、ルールの詳細が細やかでないため相手方と屁理屈合戦になり揉める。

例:深夜の騒音について具体的なとりきめがなく(夜中は静かにする・・みたいなのものです)
シェアハウスの壁が薄いため想像以上に音漏れをし、隣同士で諍いが起きる。
仲裁に入るがこちらも詳しく決めていないのと物件自体の音漏れ具合が酷く、そもそもの修繕自体を非難される。

例:第三者が頻繁に出入りする入居者をいれたため、クレーム。
第三者を現地で自分自身で捕獲せねばならず数日おきにはりこむ羽目に。
滞在者の関係者訪問についてルールは決めていたものの、非常に内容がアバウトでこれも説得力を欠く対応になる。

例:電気代を一律にしていたため、電気代を異常に使用する入居者がおり、
結果電気代等価格を改めることになりこれまた既存入居者よりクレーム。

などです。
書き出せば霧がない!のでこの辺で止めておきます。
また別の事例は次回に。

まあ今聞くとなんのこともない
そんなのお前がわるいじゃん!です。

まあそうですよね。
すべてはスタートを間違ったからこうなったというのはごもっともな指摘です。
無知な罪なりの典型というところですが、ここから学ぶこともありました。

私は今となっては20年近くシェアハウス業に携わりトータルで20000人以上の人を見て案内や審査をしてきましたのである種経験値で、その人を見ればどのような方かおおよその検討はつけることができます。
が、この時はまったくの無経験、統計的な考えも勘もなにもありません。

こののち、また都度いろいろなことが変更されていくのですが
契約についてこうしたほうがトラブルが少ないということを考え、実行しました。

①契約書はそれなりにきちんとしたお堅いものをつくる。
当たり前ですよね、でもまあ昔はペラペラな契約書のものも多かったんです、シェアハウス・ゲストハウス業については。
契約形態は普通賃貸借でも定期借家でもどちらでも構いません。

定期借家のほうが1年で契約が切れ、再契約の手続きがあるので手間ですが少し問題がある入居者さんを再契約をしないという体でさよなら出来るという意味では良いかもしれませんが、、私の経験ではどちらの契約でも揉めるときは揉めます。

生の人間を相手にしているので絶対はありませんが、審査の時にこの方は少しハウスに合わないなとおもった場合はお断りすることをおすすめします。
その入居希望の方もこのハウス以外でフィットする可能性はありますし、お断りする勇気をとったほうが後々大きな問題へと発展しないケースがほとんどです。
逆に悩んで入居を決めた場合は、往々にしてなにかしら問題が起こります。

②ルールブックは細かくていい
ハウスの使用についてのルールブックは細かくて構いません。
大まかなシェアハウス業者としてのすべてのハウスに共通したルールブックをまず作ります。
内容は良識に従ったもので共用部の使用の時間、挨拶、ハウスパーティの開催等や備品の使い方、備品の補充やその量、こちらの対応できる仕事などについて記載します。

それとは別に各ハウスごとのルールや備品の使い方、近隣各地のスーパー日常生活に必要な場所などについて記載したものを作ります。

量としてはこまかなことを記載するので結構なページ数になりますがここは
手抜きせずにつくりましょう。
入居後すぐにあれこれ質問された場合にもこの冊子があればokというくらいまでクオリティがあがれば完璧です。

③ ①②について審査を受ける前に入居希望者に公開しましょう。
公開することで相手方に面倒くさいなと思われるかもしれませんがそこは恐れずやりましょう。

公開することで自身のハウスの考え方や方針を理解してもらえますし、そのタイミングで嫌だとなる方を入居させてもその後もうまく人間関係は構築できません。

入居者の方とはあくまで対等な関係を築きつつ
ハウスのルールには従って貰う必要はありますので
入居させた後、なんでもokとしていると苦労ばかり増えます。

④どのような入居者でも審査時は同じスタンスで対応しましょう。
この方は!ぜひ入居してほしい!
この方は・・・できれば入居してほしくない・・
入居してほしい人には早めに返事をして入居催促をして
入居してほしくない人には連絡をなるべく遅く返信をする。

これはあんまりよくありません。
まず両方のタイプを入居させた時にシェアハウス内で入居者同士の情報が共有された場合、
○○さんにはこういう対応で
○○さんにはこうだった。

という話が蔓延すると言い訳に苦しみます、結構面倒くさいです。
その曖昧な対応の言い訳するために頭を使い時間を使います。

例えば審査申し込みがあった時から審査結果をお伝えするのは
3日後ときめておけば
どの入居者にも同じタイミングで返信をしますし、あれこれ頭で考えて悩む必要がありません。
その結果、入居者を逃した!という場合もありますがそれはめぐり合わせです。
あらたな入居者の募集のタイミングと割り切って考えると気持ちも新たに頑張れます。
あれこれルールを逐一変えるほうが心のストレスが大きくなります。

⑤ルールを作る際は入居者任せの箇所をできるだけ少なくする。

これは結構大切です。委託をされていた業者さんの管理がほぼできていない
タイプの物件でよく揉め事として起こっていた事例です。

例:洗濯機が入居者の数に対して足りていないため
ホワイトボードに洗濯機を利用したい時間などを記載、その人が予約という形で優先的に使う。

そもそもシェアハウス内に洗濯機なんて大体小規模10人までだと
1台あればいいほうです。水回りの構造上2つ設置できる物件は少ないでしょう。。
解決方法はそもそも1台しかないので我慢してねといいつつ、入居者のクレームケアを丁寧に行うほかありません。
こんな些細な問題で入居者同士が殴り合い、大問題になるなんてこともありました。

例:管理を長く住んでいる古参の入居者に任せる。
これも結構最悪なパターンです。
この場合、古参の入居者がイニシアチブを握りだしてあることないこと
連絡をしてきます。そしてすべてはその入居者の都合のいいように物事を進めようとしてきます。
ここまでくると、ほかの入居者もありもしないことを吹き込まれて
入居者vs管理会社みたいな構図がすぐ出来上がり、あっというまに
荒れたぼろハウスの出来上がりです。
人間の性でしょうか、共通敵を作ると一致団結して攻め込んできますので
相当メンタルをやられます。

文章がながくなってしまいますので
いったんここまでで区切っておきます。
また引き続き別の事例は紹介をしていきます。

シェアハウスは通常のマンションなどの賃貸と異なり
入居者とある意味密に接する必要があります。
ですので尚のこと、細かい契約書と感情に依存しない審査をすることを
お勧めします。



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