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スパッツを繕って

過去のレース記録

noteを書き始める以前の過去のレースでの思い出を、いつか記事にして記録したいと思ってきました。時間はたっぷりあっても、なかなか出来なかったことですが、今年は着手してみます。

破れたスパッツ

膝の部分が破れたスパッツがクローゼットの奥から出てきた。いや「出てきた」のではなく、そこにあるのは分かっていて、久々に引っ張り出してみた。
穿き込んでいないので、生地もしっかりしているが、如何せん、破れていては穿けないし、捨てるしかないと思いつつ、捨てられずに5年近くが経ってしまった。

「東京マラソン(2019.3.3)」

「東京マラソン」は2007年に始まったので、この年が13回目、落選続きに悟り、チャリティー枠での初参加である。
当日は、季節外れの冷たい雨が降るひな祭り、このレースを走って銀座中央通りでリタイアした大迫選手が寒さに震えるニュース映像が記憶に残っている。

自分がフルマラソンに参戦し始めたのは2013年、3回目の2014年「京都マラソン」で初めてのサブ4を達成して、2017-18シーズンまでに計18本のフルを走って、うち12本がサブ4で、当時は「PB更新、最低でもサブ4」を目標に走っていた。
ところが2018-19シーズンに入ると、原因不明の不調に陥る。
シーズン緒戦の「東北みやぎ復興マラソン」、「ぐんまマラソン」「さいたま国際マラソン」と3レースともハーフで潰れて4時間10分前後のゴールを繰り返して2018年を終えてしまった。
明けて2019年、30キロ走も複数こなし準備万端、まさに「不退転の覚悟」で臨んだ、同年最初にしてシーズン最後の「東京マラソン」である。

スタートの新宿新都心、冷たい雨とスタートまでの長い長い待ち時間。
スタート直後は緩やかに下っていてペースに乗りやすい高速コース、設定通りのキロ5分10〜20程度で進むものの、全く余裕がない。キツい、寒い、今日もダメかなと弱気が頭をかすめる。
キツいまま15キロを迎えたところでアクシデントに見舞われる。
15キロの計測用シートに着地した瞬間、足が滑り後に大きく流れる。身体は前のめりになり両手、両膝をついて転倒。後にも先にもレース中に転んだのはこの一回だけだ。動揺して右膝を見るとスパッツが破れて膝から血がにじんでいる。
「痛い、辞めよう」頭に浮かんだと同時に、その思いを否定するようにスイッチが入った。「ここに逃げるな」と火が付いた。
どこかで辞める理由を、辞めないまでも失速の言い訳ネタを探しながら走っていて、言い訳ネタを得た途端に、その不甲斐なさに気づいて恥じた。

ラン友の応援が目に入る。沿道の大声援を力に、粘りに粘る。柄にもなく自分を鼓舞して吠えてみる(無駄に体力を消耗しただけだが・・・)。
41キロ過ぎ残り1キロ、サブ4を確実にした丸の内仲通りで少し休んで歩いた。最後の行幸通り、ゴール地点は、意外と人も少なく地味だった。

感無量の3:49:37、おそらくラン人生最後のサブ4になるはずだ。

破れたスパッツの活かし方

以前こんな記事を書いた。

古いシューズの思い出を記録、それをレクイエムにして履き古したシューズを捨てた。
このスパッツもこの記事をもって捨てようと思っていたが、気が変わった。
「繕ってみよう」

繕う前の破れた状態を
撮っておけば良かった💦と
後の祭り

DNFしない、途中棄権なし、走り出したら最後まで走る、は自分のランナーとしてのささやかな唯一と言って良い矜持だ。
そのささやかな矜持と共にあるスパッツを今日5年ぶりに穿いて、気持ちの良いランニングが出来た。これからも大切にしよう。

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