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健康を守る船、ついに保健センターの管理へ!

日本の皆さん、こんにちは。私たちは東ティモール事務所のライムンドとアラオです。私たちは事業が開始されてから3年間、船舶に関する活動を担当してきました。船舶がいよいよシェアから保健センターに移譲されることになり、盛大に式が執り行われました。その様子を今回はレポートさせていただきたいと思います。

移譲式始まります!
ライムンドが司会をしました

大変だった移譲までの道のり

2020年2月、日本から一隻の船がやってきました。私たちの事業地であるアタウロ島は、電気や道路などのインフラが整っておらず、住民が病気になった際、簡単に医療施設へアクセスすることが難しい現状があります。
私たちが一緒に事業を行っている保健センターは、月に一度、医療者たちが住民と協力し医療施設へのアクセスが難しい村や集落に対し、移動診療を行っています。過去には船舶を利用した移動診療を行っていましたが、船舶の維持管理がうまくいかず、移動診療を中止しなければならない年が長く続きました。船舶の利用は保健センターにとっても運用が難しいもののようでした。
そこで、シェアは船舶1艇の支援と維持管理トレーニングを実施することで、移動診療が長期的に継続して行われることを事業の中で目指しました。

ディリ港に到着した船
到着した船を使って、移動診療へ!

事業期間中は、シェアが中心となって船舶の管理を行いました。保健センターが船舶を必要とする活動を実施する際は、3日前には船舶利用のリクエストレターをシェアへ提出(何の目的で、誰が何人乗船し、何時に出発するのかを記載)するという約束でした。しかし、保健センターの上部組織である保健局や保健省からの突然の申し入れがある場合など、急に依頼が来るのが当たり前で、私たちが優先すべき活動もあるため、調整が難しいことがたくさんありました。
船舶利用のリクエストにこたえられない場合は、私たちスタッフがリクエストを言ってきた人と、根気よく話し合いもしました。時には、大雑把に船舶を利用しようとする保健センタースタッフに対して、イライラしてしまうこともあったほどです。
3年間を通して、保健センターや保健省と関係構築をすすめ、維持管理の仕組みづくり・技術向上、予算確保、船頭の育成など移譲のための準備を行い、ついに船を引き渡せる状態にまでなりました。

移動診療に出かけると、多くの住民が診察の開始を待っています
移動診療の様子

船舶の移譲のための式典

4月25日、遂に移譲の日がやってきました!
東ティモール保健省大臣、在東ティモール日本国大使館の大使も参加してくださり、盛大に式が執り行われました。
私が一番感動したのは、保健省大臣からの言葉です。オデッテ大臣は「今日、この日に移譲された船舶に対し、私たちは最大の責任感を持って管理していかなければなりません」と関係者全員に対して言っていました。「アタウロは今年一つの県となりましたが、日本の皆さんから支援していただいたこの船舶を守るため、また住民が健康になる活動を行っていくために、私たち皆が継続して協力していく必要があります」と。
また「20年にわたる日本政府からの支援、そして、これまでのシェアの支援に対しても感謝している」とメッセージをいただきました。

保健大臣からのメッセージ 「一丸となって船の管理を続けていきます!」

日本国大使館の杵淵大使からは、「アタウロ島の住民の健康を守るために、船舶がこれからも長く安全に利用されること、またその際はシェア が作成し、保健省からの承認を得た船舶管理ガイドラインに沿って、正しく維持管理されていくことを希望している」とテトゥン語で挨拶をしてくださいました。
最後には、私たちの祖国、東ティモールの独立20周年と日本と東ティモールの関係が20年を迎えることに対して、お祝いの言葉もいただきました。

式典の中で私が驚いたのは、私たちがこれまでに船舶管理トレーニングを実施してきた船頭に対し、保健省との職員契約が交わされたことです!
杵淵大使も船頭がサインするところを見守ってくださいました。
事業の初期にはシェアの職員として勤務し、事業終了後に保健センターの職員となることが計画されていましたが、この話がうまく進むか不安だったのです。たくさんの人に見守られながら契約書にサインした船頭である彼が、これからも健康を守る船を守っていってくれるだろう、と私は確信しました。

日本人船舶専門家からの指導を受けている船頭のアグストさん(船頭への船舶維持管理訓練時)
職員契約を交わす 船頭のアグストさん

アタウロでの説明会

保健省に移譲された船舶はアタウロに渡り、移譲式の翌週には、アタウロで船舶譲渡の説明会が行われました。この目的は、アタウロ保健センターに移譲された船舶を、アタウロ在住の人々が自分たちの健康を守るために利用される船であり、これからはアタウロに住む人々全員で船を守っていく!と認識してもらうためです。

アタウロでの説明会は私、アラオが担当し、3年間の事業の中でシェアが実施し、達成できたことについて報告しました。私が嬉しかったのは、今回の式に参加した村長から、シェアにもっと長い期間事業を実施して欲しいという声を聞けたことです。これまでの事業の中で、大変なこともありました。けれども、自分たちを必要とする声、そして、シェアの良さを認識している人、シェアの事業によって健康になった人がこの島にたくさんいる、と知ることができました。

アタウロでの説明会では、アラオが司会進行を務めました

また、式の中で、アタウロ保健センター長が、「シェアが作成した船舶管理ガイドラインに従い、定期的に船のメンテナンスを行うなど、船を長期的に利用するために遵守しなければならない事を、私たちも守っていきたい」と発言してくれました。そして、何より、今回の式に参加したすべての人から、「シェア、ありがとう!!」とたくさん言ってもらえたのが何よりも嬉しく、私は誇りに感じました。

保健センター長、保健局で実施した維持管理会議のときも、
「私たちの責任で今後船を運用していきます」とお話してくれました

船舶とシェアの関係はこれで終わりではなく、これからも運用サポートを行うために続いていきます。船が長く利用され、人々の健康を守っていってくれますように。私たちはこれからも保健センターと共に活動していきます。

これまで私たちの活動、特に船舶の活動を応援してくださっていた皆さん、本当にありがとうございました。そして、これからも応援してくださいね。

アタウロでの私たちの活動はまだまだ続きます!住民の皆さんがまた喜んでくれる、そんな事業を行うために、私たちは頑張ります。

アタウロ県知事、保健センター長、そして村長、集落長たちと共に。
皆で船を守っていきましょう!

※この事業は、皆さまからのご寄付と、外務省日本NGO連携無償資金協力や民間助成金の資金をいただいて実施しています。
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シェアは20年にわたり、東ティモールで保健ボランティアの育成や保健教育の普及などに取り組んできました。新型コロナを含んだ感染症の予防対策や、現地の人々の健康で平和な暮らしのためには、継続した活動が必要です。皆さまからの温かいご支援に感謝いたします。

*応援よろしくお願いいたします*
東ティモール事業支援

   

文責:シェア東ティモール事務所 ライムンド・ドミンゴス・グテレス(フィールドオフィサー 左)、アラオ・シメネス・モラト(フィールドオフィサー 右)

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*6月19日(日)浅草文化観光センターにて対面イベントを予定しています。東ティモール事務所代表の巣内も出演しますので、ぜひお越しください

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