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アタウロ島の結婚式 ~二つの家族が一つになるとき~


日本の皆さん、元気ですか?皆さんが元気でいらっしゃいますように。最近は戦争の悲しいニュースが続いていますね。東ティモールでも連日報道されています。現地の人に早く心休まる日々が来るように祈るばかりです。

さて、私の名前はジョシオです。この度私はLylla(リイラ)さんという夢にまで見た女性と夫婦になることができました。
土地や文化が違えば結婚の考え方やプロセスも違うと思いますので、アタウロ島出身の私が結婚に至るまでのことを紹介しようと思います。またアタウロ島と他県との違いも少し伝えられるかと思います。


ジョシオとリイラ 結婚しました!アタウロの海を背景に

結婚までの道のり

昔は許嫁の仕組みがありましたが、現在は恋愛結婚が多いです。出会いの場は学校であったり、教会、それから誰かの結婚式であったりします。私たちは学校で出会いました。アタウロではお付き合いをしているときも、相手の家を尋ね合います(なぜかと言うとデートする場所がほとんどないので…笑)。初めて相手の家に行くときには、相手の親の手を握って頬を寄せ合う挨拶をします。最初の挨拶はとても大切です。敬意が込められているか、自分が誰なのかを明確に話す必要があります。
 
結婚を意識し始めると男性側がリアナイン*を連れて相手方を尋ねます(正式な結婚の挨拶)。親に反対されることはほとんどありません。ティモールでは結婚の前に先に子どもがいることがほとんどなので、大体子どもができたら正式な結婚の挨拶をする感じです(私たちの間にはまだ子どもはいませんが)。結婚の挨拶の前にも相手の家に遊びに行ってお茶を飲んだり談笑したりすることもあります。
 
正式な結婚の挨拶の際に、両家が交換するもの(結婚の儀式)と教会で行われる結婚式について話し合います。交換する際に何をどのくらい用意するのかが話し合われますが、この際、私たち当人は話し合いに参加することはできません。リアナイン同士+親族数名たちが話し合います。

*リア‐ナインとは伝統的な長老と裁判官。伝統的な事柄について話すことができ、花嫁の価格を交渉し、紛争を解決できる人。結婚式などの宴を仕切っていて、人を招待するために送り出す人。(テトゥン語辞書に書かれてあるままを翻訳しています)

東ティモールでは99%がキリスト教信者です。大半はカトリックですが、プロテスタントを信仰している人もいます。アタウロ島ではプロテスタント信仰がカトリックよりも多く、プロテスタントの教会がアタウロには多く存在します。私たちはそこで結婚式を挙げることにしました。場所は私の出身地にある教会です。

結婚式の前には、結婚の儀式を行います。リアナインから何を準備する必要があるかが当人に伝えられるので、家族と話し合い、私は豚2頭と私の生計に合う金額を封筒に納め、リアナインに渡しました。

 また、結婚式の準備もしなければなりません。結婚する前には牧師から聖書の教えを受ける必要があります。そこで、家長として、妻としての役割、家族をどうつくっていくかを教えられるのです。

結婚式の来客を受け入れるテントを作るために木を運ぶ親族たち
結婚式の来客を受け入れるテントを作るために木を運ぶ親族たち

結婚の儀式と結婚式の準備

男性側:
1.       テント(来客を受け入れる場所の準備)
2.       訪問される家族に対して振る舞う食事のお金
3.       女性の家族側に対して支払うもの(動物やお金)
女性側:
1.タイス(伝統的な織物)

東ティモールでは、親族の1人1人が、結婚に対して自身の生計に見合った貢献をすることが習慣となっています。それはお金であったり、動物であったり、米、飲み物であったりします。他にも、テントを作るために力で協力してくれる家族もいます。まずは結婚の儀式がおこなわれ、その後協会での結婚式を行います。
私の結婚に際し、親族皆が様々な形で貢献してくれました。自分の親族たちが、自分事として協力してくださったこの日を私は一生忘れないでしょう。彼ら(特に私の両親、伯父、伯母、叔父2名、兄と義姉や弟妹)は結婚式が無事に終わるまで傍にいてくれ、とても心が落ち着きました。これは私の他の親族が結婚する際、自分も返す必要があるのです。これがアタウロで行われる結婚の実際です。

テントの完成まであとちょっと…
テントが完成!当日が楽しみです。

アタウロの結婚式は少し違う!アタウロと他県の違い

アタウロの結婚は、他県と比べ、女性の値段(動物やお金)を決めて交換する儀式よりも教会での結婚に重きを置きます。結婚をする本人同士が結婚式で誓いを交わすことが大切と考えているのです。私の妻も、「何を交換するか、あなたとあなたの家族が無理をしないでくれるものを私は何でも受け入れます。借金だけはしないでください」と言ってくれました。
他県では贈り物を交換する儀式の方が優先され、女性の親族側が指定する動物やお金を無理してでも(強制的に)準備することが慣習となっています。準備できない間は結婚することができません。これは昔から続く文化として大切なことなのかもしれませんが、妻となる女性にも重荷を背負わせてしまうことになるように思います(結婚ができない=金額が高い=それに見合うように振る舞わなければならない等)。

客人を迎えるために料理中
たくさんの料理がお客さんを迎えます

結婚してよかったこと

皆さん、私は結婚式が終わったとき、見るものすべてが今までと違って見えました。朝起きれば妻がおり、朝食をテーブルに、そして仕事へ行くための服を用意してくれています。仕事から帰れば夕方に飲むためのコーヒーとスナックのさつま芋が蒸かして置いてあります。そして、彼女はいつも私を落ち着かせてくれます。何か問題があったとき、彼女はいつも「問題があるときは自分が強くなるチャンス」と言います。彼女に想いを打ち明けると、問題に立ち向かう勇気が湧いてきます。これらは全部独身のときとは違います!独身のときも良かったですが、家族を作ったあとは、結婚して本当に良かったなぁと思います。

結婚式の日はシェアからも巣内代表とスタッフ数名が参加してくれました。このNGOで仕事をしていて良かったなと思います。

シェアからも参加してくれました

結婚の後は家族と住むの?

東ティモールは家族が多いので、結婚すると皆一緒に住むと想像する方もいるかもしれませんが、私は自分の家族とは住まず、妻と二人の生活を選びました。聖書に書いてあるように、成長した男は妻と共に1つの家族をつくる必要があると思ったからです。また、家族がいるとどうしても甘えてしまう自分がいるので、1つの家族、家長として責任を持って家族を守っていきたいと思い、小さい部屋を借り、今は二人で暮らしています。

今月のブログは以上です!独身の皆さん、結婚はいいですよ!日本の皆さんにも結婚をおススメします(笑)。
それではこれで!大きな愛を私と私の妻から届けます。
読んでいただきありがとうございました。


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