「障害」について発信すること

「障害」について発信しようとすると、

どんな言葉や表現を使うかに慎重になる。

それは、我が子の持つ「障害」だからではなく、

誰にとっても同じことで、

私だったら、

自分以外の誰かに、自分のできないことについて

ああだこうだ言われても、いい気はしないからだ。

そう思っていた時に、

一つの指針になるものを見つけたので、紹介したい。

アメリカのada のNational Network の

「Guidelines for Writing About People With Disablities」

の中の「Words are powerful.」である。

原文には、UseとDon't Use の表現が表の中に並んでいて、とても分かりやすかったのですが、長くなるので、タイトル部分の私の日本語訳と、私自身の解釈を書いてみます。*部分が私の解釈。

1.Ask to find out if an individual is willing to disclose their disability.

描かれる個人が、

障害を開示することを望んでいるかどうかを、当人に尋ねる

*ちなみに、私の場合、息子に書いた文章は読んでOKをもらるようにしている。誰にでも知られたくないことがあるから、当たり前だよね。

2.Emphasize abilities, not limitations.

できない制限よりもできる能力や才能を強調する

*この視点、大好き! できることは、できないことの向こう側に隠れていることの方が多いと思うから。

3.In general, refer to the person first and the disability second

障害よりも、個人に言及する

*障害を持っている人と障害者という表現の違いかな。slow learnerではなく、person with a learning disabilityを使うと書かれていた。これは勉強不足でした!反省。

 障がいと個人が切り離された表現がいいという意味だと理解しよう。

4.However, always ask to find out an individual's language preferences.

しかしながら、当人がその言葉や表現を好むかどうかを必ず尋ねておくこと。

*人によって、言葉の感覚って異なるから、これもとても大事な視点だと思う。

5.Use neutral language.

      中立的な言葉を使う。

*どちらか偏らない、フラットさが必要。victim「犠牲者」とか、defect[「欠陥」のあると言った言葉を使わない。

6.Use language that emphasizes the need for accessibility rather than the presence of a disability.

      「障害」があることよりも、アクセスシビリティ(利用しやすさ)の必要性を強調する言葉を使う。

 *障害者用トイレより、アクセシブル(利用しやすい)トイレみたいに。

7.Do not use condescending euphemisms.

     恩着せがましい(わざと親切にする)婉曲的な表現を使わない。

*障害と障がい、みたいな感じかな。私の場合、「害」も直球すぎて、抵抗あるけど、「がい」も変に気を遣われるみたいで違和感ある。

8.Do not use offensive language.

不快な言葉は使わない

*これは誰に対しても大事なこと。

9.Describing people without disabilities.

障害を持たない人びとを描写すること。

*障害を持つ人と持たない人の違いをいかに表現するかって難しい。

私は障害を持たない人が普通と表現されるのかなりの抵抗感を持つ。

眼鏡をかける人とかけない人くらいの違いのように、表現できるのが理想。

10.Remember that disability is not an illness and people with disabilities are not patients.

障害は病気ではないし、障害を持っている人は患者でもないことを覚えておく。

*健康かどうかは、障害とは別問題。

11.Do not use language that perpetuates negative stereotypes about psychiatric disabilities.

精神障害についてのネガティブな月並みな考え方を植え付けるような言葉を使わない

*メンヘラとかヤンデレのようなネットスラングは、これに当たる気がする。もし、仮に、自分がメンヘラだとしても、誰かに言われたくない。メンヘラだと自覚して、自分が使う分にはまだ構わないと思うけど。

12.Portray successful people with disabilities in a balanced way, not as heroic or superhuman.

障害を持っている人で成功している人を、ヒーローや超人のように表現するのではなく、バランスの取れた表現をする

*成功しているかどうかも、障害があるかどうかには全く関係ない。

障害があり成功している人もいれば、障害がなくて成功していない人もいる。あくまでも個人の問題。それだけのこと。

13.Do not mention someone's disability unless it is essential to the story

話の本筋に必要ないなら、誰かの障害について触れない。

*必要がないなら、障害について話題にしない。至極当たり前。

14.Create balanced human-interest stories instead of tear-jerking stories

 涙を誘う物語ではなく、「人」に関心を寄せられるバランスのある物語として表現する

*障害があるのに、こんなに頑張ってスゴイ!みたいなのも、不自然だし、お涙頂戴な描き方は失礼だよね。

こうやって指針を目にすると、最初から、自分に対して発信のハードルを上げてしまった感が満載だけど、こういった視点を大事にしたいという宣言にしようと思います。不快な表現があれば、ご指摘ください。

このnoteでは、

元教師として、disabilitiesを持つ生徒のために、実践したり研究したことを元にしながら、

母親として、息子には「こんなにもできること」があり、一方で「こんなにもできないこと」があるよ、という現実を発信したいのです。

「こんなにもできない」ことを「できる」ようにするためには、環境設定というものが大事であったり、社会での認知を得ることが必要だと考えたので、この発信を始めました。障害って社会により作り出されるという側面もあると思うからです。

最初から熱く始まりましたが、気長にお読みくだされば幸いです。


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