母の叱責
東海や関東は梅雨明けしたらしい。
ここ数日、割と過ごしやすくて安心しきっていた。
ここから当然、酷暑が予想される。
コロナなんかになっている場合ではないのだ。
母の体調が戻り、埼玉の私の家を後にした。
かれこれ1週間近く共同生活をしたのは、名古屋の実家にいる、ゴールデンウィーク前以来だった。
この数日間で母から色々言われた。
部屋が汚いだの、洗濯物を溜めないだの、色々と。
鬱陶しいなと思いながらも実家にいた頃を思い出させる一幕だった。
実家の時は本当によく言われたものだよ。
そんな母からの野次もなくなり、部屋は閑散としている。
まるでシャッターが閉まった商店街のよう。
なんだか寂しいな。
鬱陶しいはずなのになぜだろう。
細かい指摘を受けることなく、静かな日常が戻ったのに。
この部屋の静けさに憤りさえ感じる。
それだけ母から言われる文句が心地よかったのだろうか。
22年間、母からの叱責を受け続けてきた私の耳は伊達じゃない。
耳もそろそろ、母の叱責を欲していた頃だったのだろう。
そして何より、母に健康が戻ってよかった。
私ももう少し安静にして、回復に努める。
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