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美術展への見方が変わっていく話

どーも!きつね@人材育成担当です。
唐突ですが、皆さんは美術好きでしょうか。
きつねさんは、下記サイトから興味のある展覧会に行くケースが多いです。


最近は著名な画家や、なかなかいけない海外の美術館の展覧会も多く、とても楽しめるものが多いのではないでしょうか。

そんな美術に対しての距離が近い昨今、先日この本を読みました。

この本を読み終わったとき、「そもそも『不都合』ってどんな意味だっけ」と思いました。まずは「都合」の意味を改めて振り返りたいと思います。
※「不都合」で調べると、「都合が悪いこと」しか出てこなかったので...

都合
 1 何かをするときにほかの物事に影響を及ぼす事情。わけ。
 2 ぐあいがよいか悪いかということ。
 3 やりくりをすること。繰りあわせること。

上記から、この本では、美術展の企画プロセス内で、美術関係者間の関係性を明らかにすることで、純粋に美術を楽しむ人が増えてほしいという思いで記載されています。

日本と海外の美術館事情

ざっとまとめると、下記の通りでした。

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特に印象的だったのは
・日本は企画展でかなり集客に力を入れている
・主催者にマスコミが加わる
・マスコミが関与することで、費用構造がいびつになる
・絵画を保有しない美術館が出現している

日本の美術展が出来上がるまで

国立の博物館・美術館の場合、マスコミが主催となると、費用負担はすべてマスコミになります。学芸員の出張費用から絵画の借用料や保険も含めます。

なお、マスコミが美術展に関与する理由は下記2点です。
・海外の支局とのネットワークがあるため
・自由に持ち出せる外貨を保有しているため

そのため、海外も関与する美術展を実施すると、学芸員にとっては経験値のつきそうな企画ができるため。好まれる傾向があります。
反面、こういった金額の融通をマスコミがするため、美術館自身が大金を使っての企画が難しくなっています。金銭面での抱っこにおんぶの関係性ができました。
※今ではマスコミ各社には、美術展を企画する文化事業部も存在しております。この美術展企画の力を 他の事業部に横展開できないようでして、結果マスコミ内の事業部を解体することも難しいそうです。

また、近年では、所蔵作品の持たない美術館ができ、マスコミが企画を持ち込みやすくなったと言われています。

海外の美術展が出来上がるまで

海外では、学芸員自ら美術展を企画します。マスコミは一般的には関与せず。
また、美術作品を別の美術館から借りる際、費用は掛かりません。
※日本はマスコミが関与しているため、費用が掛かるそうです。

結局何が不都合なんだろう

海外と比較して、日本では美術展の企画をマスコミが台頭することで、学芸員の皆様の力が発揮できていないことが不都合ではないか、と認識しました。

ここで、作者の言葉をお借りします。

断っておくが、別にそれを「暴露」して美術館や博物館関係者を貶めたいわけではない。そうではなく、美術が好きで展覧会によく行く普通のファン(今では私もそうだ)がその仕組みを知り、宣伝などに惑わされることなくより純粋に好きな美術を楽しんでもらうために、この本を書こうと思っている。

いつもと違う美術展を見たい時は

有名な企画展を見に行くと、絵がゆっくり見られない、人が多い等、少し辟易するときもありますよね。
そんな時は、主催/共催の欄を見てみませんか?

おそらく、人が混雑している、聞いたことのある画家がいる場合、マスコミが協賛しているケースがあると思います。
費用を回収するために、有名な絵を中心に集めることが多いそうです。

しかし、もしマスコミの名前が無い場合、美術館の学芸員の方が主催として企画しているケースになります。

企画を考える際、歴史的に説明は必要だけど無名な絵や、学芸員の方イチオシの絵が見られる可能性が高いです。

もし、違う楽しみ方を探したい場合、ぜひ参考にしてください!



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