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ONARA RECORD #10「愛のために/奥田民生」

今回ご紹介するオナラレコードは「愛のために/奥田民生」です。

奥田民生さんと言えば元々バンド「UNICORN」のボーカルとしてデビューし、解散後はソロ活動を続けるだけではなく「PUFFY」のプロデュースの勤めるなど多岐に渡って活躍しています。
そんな奥田さんがソロデビューした最初の曲であり、自身初のミリオンセラーとなったのが「愛のために」です。

▼PV

▼歌詞


さて、まずはこの曲を簡単に3行でまとめてみたいと思います。

おっさんは真面目に社会を憂いたり、嘆いたりしている。
まあそんなこともあるだろうが、そんなことより「愛のために」生きようや。
愛のために僕好みの、君好みの世界にしよう。

元々奥田さんは「歌詞を重視していない」と言い切っているらしいので、本人の意図がどこまで汲み取れているかは分かりません。
ですが私はかなり本質的でなことを歌っているように感じられます。

「自分のため」「人のため」それはすなわち「愛のため」だと。
それも気負った感じでは無い口調なのが良いですよね。聴き手は暖かい空気に全身を包まれ、どこか安心感を覚えます。


本質的でも、哲学でも、これは「オナラレコード」なのです。
もう分かってましたよね?

では、一体どんな屁理屈を歌っているのでしょうか。

それは、金融詐欺師の屁理屈を歌ったオナラレコードです。
愛もクソも無い。まさにその通りだと思います。「金のために」は何でもやる職種ですからね。

果たして、本当にそんな男のオナラレコードなのでしょうか?

まずは金融詐欺師の様子を思い浮かべてみましょう。

・家で父が読んでいた漫画「笑ゥせぇるすまん」を読んで感銘を受ける
・幼少期から弁が立ち、教師からは忌み嫌われていた
・折り合いが悪かった教師のクラスでいじめを捏造し、PTAまで根回しすることで解任させた経歴を持つ
・大人になってからは老人をターゲットに金融商品の代理売買を行うと言って大金を預かっては架空の損害を計上して懐に入れている

筋金入りの詐欺師です。すなわちクズの中のクズです。極悪非道。親の顔が見たい。
もしこんな奴に自分の両親や祖父母が騙されていたと知ったらどうですか。善良な市民であれば間違いなく報復に出るでしょう。


はい、では本当に「愛のために」がこの男の屁理屈を歌っているのか、実際に見ていきましょう。

Let’s ONARA RECORD!!!


となりの席ではフケた男が
さんざんからんで人生を語る
どっかで聞いた事ある話だ
思えばあいつは昨日も来てる

これはターゲットを見つけた場面ですね。

ふらっと立ち寄った見知らぬ居酒屋で、1人の老人が他の客に絡んでいる。
かなり酔っている様子。自分の半世紀を振り返って「今の若い者は」とのたまう。

かなり仕事で成功しているようだが、どこかで聞いたような話ばかり
どうやらバブル前に事業を起こして成功させた成金らしい。

この頃の社長連中は本当に脳みそが軽い。
自分の「天性」「直感」そんなものを信じて疑わず、どこか自分は特別だと過信している。

店の亭主に聞くと、昨日も一昨日も来ているらしい
承認欲求に飢えている、格好の餌食だ。


おっさんあんたはそういうけれど
いろいろややこしい世の中で
雨にも風にも夏にも負けず
明るい日本の見本となった

ここはターゲットに接近する場面ですね。

自然な流れで「おじいさん凄いですね。もっと話聞かせてください」と近寄る。
何の警戒心もなく嬉しそうに自慢話をしてくる、これは仕事が早そうだ。

「僕からすると、今の若者にはあなたみたいな人がもっと必要だと思います」
「あなたは明るい日本の見本ですよ」

そんなことを言っていると、ついに肩を組んで来た。分かりやすい。


充分休んでから行こう
いちいち道草して行こう
残りの福をみなもらおう イエー

ここはおじいさんに投資を勧める場面でしょう。

「おじいさん、もう十分休んで飽きちゃったんじゃ無いですか?」
「ちょっと寄り道して、未来ある若者の事業に投資しませんか?」

そう耳打ちすると「ったく、仕方ねえなあ。一肌脱いでやるか!」と随分ご陽気な様子だ。

「お願いします!まだ投資されてない企業はたくさんあるんです。残り物には福がありますよ!」
そういうとおじいさんはキープしていたとっておきの焼酎とやらを注いでくれた。不味い。


ここらへんで そろそろ僕が
その花を咲かせましょう
愛のために あなたのために
引き受けましょう

ここはおじいさんに追い込み営業をかけるシーンでしょう。

「どうか、私はおじいさんの為に役立ちたい。おじいさんのお金を使って日本に花を咲かせますよ!」
「日本のために、おじいさんの為に引き受けましょう!」

そういうとおじいさんは「君はなかなか良い目をしている。未来ある若者のために力を貸そう。」と言った。

この男の目に、僕はどう映っているのだろうか。
そう思って凝視してみたが、彼の濁った瞳に僕の顔は映っていなかった。


あー 燃えているんだぜ 僕ごのみの
ワールド オブ ワールド
荒れる海原に船を出せ

ここは騙した後のことを考えてニンマリするシーンです。

ああ、なんて楽しいんだ。

人のためと言いながらも、結局は自分の尊厳を誇示したい連中ばかり。
そんな人たちの「ココロのスキマ」を埋めて差し上げる。すると不思議なことに僕が儲かる。

僕好みの世界にどんどん色づいていく。
もっと騙したい、より大きく、より多くを騙そう。



おっさんわかるよまあそういうな
確かに近頃よくわからない
だけども雨も降り風も吹く
ステキな日本を守ってくれる

ここからは預かったお金で失敗したと打ち明けた場面でしょう。

おじいさんは血相を変えて僕に詰め寄っている。
「未来ある若者のために」という言葉はどこへ行ったのやら。結局は自分の金が惜しいのだ。

『クソ野郎』だの『能無し』だの散々罵声を浴びせてくるが、騙されていることに気づかない。
それは僕を見下しているから。「こんな若造に騙される訳がない」と心底信頼しているのだ。

「あなたの気持ちも分かりますが、事業の世界は分からないことが山ほどあります。」
「でも、『雨降って地固まる』と言うように、失敗を活かして次の挑戦をするんです。そのためには、あと500万必要です。」

普通こんな話に乗るやつは居ない。
そう思いつつも次々と言葉が出てくるのは何故なのか。

「そうすれば、かつてのあなたのように未来ある若者が社会をより良く変えてくれますから。」
「信じてください!私を、若者を、そして日本を!」

僕がそう言うと、おじいさんは少しため息交じりにこっちを睨みつけた。


オー 僕らは僕らでそら行こう
10 年たったら空行こう
君を必ず連れて行こう イエー

ここはより未来の話をして、おじいさんを納得させる場面です。

「おじいさん、事業は博打に似ています。」
「大きなヤマを当てるには、誰も張らないヤマに賭けなければなりません。」

そういうとおじいさんは目の色が変わった。
僕にはわかる。一攫千金をした成金タイプは賭け事に目がない。

「10年後に笑っているのはおじいさんです。事業が当たって上場するその日、あなたの気分と株価は天にも昇るでしょう。」

「天寿を全うする」と言いかけた自分にヒヤリとしながら、一呼吸置いて男の目をしっかりと見据える。

「あなたを必ずそこまで連れて行きます。信じてください。」


(中略)
陸海空 いろんなところから
どこでも駆け付けましょう
愛のために あなたのために
生きて行きましょう

ここはおじいさんを安心させる場面でしょう。

「もちろん、100%の安全は保証できません、職業柄。ですが僕はあなたの味方です。いつだって助けます。
愛のために、あなたのために働きます!それがより良い社会のためだから!」

そう言うと、思わず僕の頬を涙が伝っていた。
ここまでくると自分という人間が分からない。何が偽者なのか、何が本者なのか。


あー 知ってるんだぜ 君ごのみの
ワールド オブ ワールド
荒れる海原に船を出せ

ここは最後に自身の社会観、そして人間観を語る場面です。

ああ、知っているさ君達が望むことはだいたい。
誰もが「自分は騙されない」と思っているし、「自分は賢い」と思っている。

そう言った大衆の意識を何というか知っているか?
「衆愚」だよ。君らは『こうだといいな』という虚像をどこか信じ、そんな話が舞い込んでくると喜ばずにいられない。

君らが知っている世界は広い広い世界の、ごく一部。
それを世界と呼んでいる。

世界の中にあるちっぽけな世界。つまり「ワールド オブ ワールド」さ。

さあ、負けたくないんなら、井の中を飛び出しなよ。
荒れる海原に出ておいで。



いかがでしょうか。
極悪非道な詐欺師であることには変わりありませんね。

でも少し「わかる」と思ってしまう場面もあったのではないでしょうか?
誰もが持っている醜い感情。それは自分では気づけない「ココロのスキマ」です。

あなたのスキマは何で埋められていますか?
埋めようとする親切な人は近くにいませんか?

サポートされたお金は恵まれない無職の肥やしとなり、胃に吸収され、腸に吸収され、贅肉となり、いつか天命を受けたかのようにダイエットされて無くなります。