ONARA RECORD #1「閃光少女/東京事変」
日本にも、世界にも、数々の「名曲」と呼ばれるものが存在し、人々を勇気付け、癒しています。
しかし「名曲」も輝かしいアーティストが歌う場合にのみ「名曲」であり続けられますが、一般の我々が同じこと語ると「屁理屈」「言い訳」と揶揄されて片付けられてしまいます。
つまり、「何を言うか」ではなく「誰が言うか」が価値を決めてしまっているのです。
そんな誤解を解くために、このマガジンでは敢えて「名曲」というものを屁理屈を歌った「オナラレコード」として紹介していきます。
今回ご紹介するオナラレコードは「閃光少女/東京事変」です。
2007年に車のCMにも起用され、椎名林檎さんをよくご存知でない方も聴いた事があるのではないでしょうか。
▼PV
▼歌詞
さて、まずは聴いたことの無い方のために、この曲を簡単に3行でまとめてみたいと思います。
昨日とか、明日とかはどうだっていい。
今が何より大事なんだから。
大好きなあなたの前で、最高の今を見せるだけなの。
素敵な歌詞ですね。
将来に漠然と不安を抱えていたり、過去のことでクヨクヨしている人に刺さる名曲です。
そして、これは「オナラレコード」です。
一体どんな屁理屈を歌っているのでしょうか。
それは、前日飲みすぎて仕事をとちったサラリーマンの屁理屈を歌ったオナラレコードです。
まだピンときていない方もいらっしゃると思いますが、根気強く読み進めてみてください。思い描いていたバイアスが解けていきます。
ではまず実際にサラリーマンを思い描いてみましょう。
・三十路を過ぎた男性銀行員
・出世は早い方ではないし、1年以上彼女もいない
・新卒で支店に入ってきた女子社員の面倒を見ており、好意を抱いているがプライベートな質問なんて怖くて出来ない
・昨日はそんな女子社員も含めた支店のメンバーで飲み会が開かれた
・普段は一次会で帰るが、二次会のカラオケにその女子社員も来ると聞いて思わず参加
・翌日声も枯らしてしまい、二日酔いで寝坊。仕事にならず支店長からはこっぴどく叱られる羽目に
いかがでしょう。情けない感じがムンムンしますね。
ではそんな彼を思い浮かべながら、「閃光少女」の歌詞を見ていきましょう。
Let’s ONARA RECORD!!
今日現在(いま)が確かなら万事快調よ
明日には全く憶えて居なくたっていいの
昨日の予想が感度を奪うわ
先回りしないで
これは、昨夜のカラオケ中に思ったことでしょう。
あの子とカラオケに来ている、なんて幸せなんだろう。そんな時に明日の仕事のことなんて考えたら幸せなひと時が台無しです。
だからこそ、スピーカーから流れる音、充満したタバコの匂い、手に触れるソファの感触を一瞬一瞬味わいながら幸せを噛みしめるのです。
明日の仕事を考えて萎えたりしない、「先回りしない」ように。と。
今日現在(いま)を最高値で通過して行こうよ
明日まで電池を残す考えなんてないの
昨日の誤解で歪んだ焦点(ピント)は
新しく合わせて
これは順番が回ってきた時のことでしょう。
彼女に聞かせるため、この日のために家で毎晩聞いたミスチルの「Sign」を歌い切るのです。
普段ならキーを下げる所ですが、今なら原キーで歌える気がする。明日まで喉をもたせておく必要なんてない。
現在(いま)を最高値で通過して行くんだ。
切り取ってよ、一瞬の光を
写真機は要らないわ
五感を持ってお出で
これは彼女が歌っている時のことでしょう。
まさか彼女が歌っている姿をカメラで収めるわけにもいかない。
いや、そんな必要はない。自分の五感に彼女の歌を焼き付けよう。
生きている限りはリピートできる、二度と忘れない。と。
私は今しか知らない
貴方の今に閃きたい
これはまさに「Sign」の大サビを歌っている所ですね。
2番のサビから喉がおかしくなっていることに気づいていた。咳払いをして治るものではない。
「明日声が出ないかも…」と一瞬よぎってしまった雑念を0.2秒で振り払い、一世一代の覚悟を持って原キーのまま歌い上げる。
裏声なんて使わない。俺は桜井和寿だと言わんばかりの情熱で。
「彼女の今に閃きたい」という一心で。
さて、いかがでしたでしょうか。
段々と怒られるサラリーマンを勇気付ける歌に聞こえてきたのではないでしょうか?
そして、不思議と情けないサラリーマンがかっこよく見えますね。
「閃光少女」と椎名さんは名付けましたが、それは「閃光中年」にも「閃光老人」にもなり得るのです。
皆さんも明日のことなんて考えず、今から外に飛び出しませんか?
今ここで輝く「閃光」になるのも、悪くはないと思います。