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上海: 汚れた空気の中で思う事

 「毎日ゆるゆる書く」と言っておきながら、気がついたら数日書けずじまい。ゆるさにも程がある。反省はするが、恐らくこれから数ヶ月はこんなものか。iPhoneに積んだ本を消化しながらため息。

 さて、日本では毎日のように「中国の大気汚染がひどい」とニュースになっているが、そんなニュースはどこ吹く風。今週の上海は本日日曜を除いてこの青空であった。暖かくなり始めると、やや空気の澄み方も変わってくる(気がする)。

 一般には、PM2.5に代表される中国の大気汚染物質は「無味・無臭」だとされる。すなわち、普通に呼吸をしている分には気づかないと。上海に暮らして丸2年が経とうとしている私だが、確かにビルにモヤがかかっていたり視覚的にヒントがないとわからない。

 なお、大気汚染の予測指数が150に達すると、中国の幼稚園や学校では「外遊び禁止令」が発令される。詳しくは知らないが、スポーツ選手とかにも同じような基準があるのだろうか。そうであれば、現代中国のスポーツ界のスターが屋内スポーツに限られる事も合点が行く。サッカー選手とか、日頃の練習どうしてるんだろう……。

 さて、そんな目に見えない脅威である中国の汚染された空気だが、中国駐在5年目の先輩駐在員に聞いたところ、彼はあまりに大気汚染を気にするあまり、かすかな臭いで汚染度を嗅ぎ分ける技術を身につけたそうだ。「そんな馬鹿な、と思ったが、聞いてみたら確かに誤差±2ぐらいの精度で毎日当ててくる。2年ほど経ったし、私の鼻でも当てられるかなと思って今週水曜に「今日の汚染は105ぐらい!」と念じてネット調べてみたら、下記の結果。

 全く修行が足りない。

 ちなみに私は2012年の上半期にPM2.5のメッカ、北京に語学研修に派遣され、約5ヶ月間生活していた。当時はPM2.5という言葉が一般的ではなく、多少街中がモヤモヤ白く濁っていた時でもあまり気にする人がいなかった。中国人のタクシードライバーに「この白いのってヤバくないい?」と聞いても「これが北京の気候さ、冬はいつもこうなんだ」というなんとも気の抜けた返事。中国人は、環境的要素に対しては基本かなり寛容な人たちである。

 日本でも「PM2.5」という言葉が広く認知され始めた2012年の春ぐらいから、だんだん周りの外国人も「ヤバいヤバい」と騒ぐようになった(そうだ)。外でランニングする人がどんどん減っていったそうなのだが、アンテナが低くぼんやりしている私が「勉強ばっかりだと体に悪いから、健康のために外でランニングでも始めようかな」と友人に気軽に言ったところ「目的と手段が一致していない」と厳しくたしなめられた。「お前は早死にしたいのか」と。当初意味がわからなかったが、帰国してニュースを見て初めて理解した。確かに危険だ。

 常に空が青い日本では、まだ皇居ランナーやウォーキングおばちゃんが増え続けているのだと想像するが、現在私の周囲では外でランニングする習慣を持っている人は非常に少ない。仕事関係ではゼロ。中国、特に沿海部では健康志向の高まりと共に様々な健康周辺ビジネスが拡大し続けているが、内情は全体的にインドア寄りである。中国の大気汚染は、まさに見えない天井となって、都市部でのアウトドア活動の拡大に二の足を踏ませている。これからもできるだけ外に出たくない人は益々増えていくだろうし、それもあって、買い物もインターネットで済ませる人が益々増えていくのだろうと思う。ネット購買が増えるのはいいのだけれど、その前に物流インフラをまずなんとかして欲しいなぁ……。

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