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最終トラムにて

みなさんこんばんは。 いかがお過ごしでしょうか。

朝晩は寒くて、日中は暖かいので、寒暖の差が大きくて、変化に気をつけないといけない時期ですね。今年も残りが少ないので、体調崩さぬように気をつけましょう。

今日は昔、海外暮らしの中で葛藤していた頃の話をしたいと思います。

当時アルバートパークの近くのジャパニーズレストランでバイトで働いていたボクは、ディッシュウォッシャー(皿洗い)だったので、閉店後もフライパンや鍋などを洗って、いつも最後にお店をでていました。

メルボルンの中心部の自宅 (といってもバックパッカーズ(安宿))まで帰るには、トラム(路面電車)に乗らねばならず、いつも0時36分だったかの終電に乗っていました。

お店の残り物をパックにいれて”まかない”をもらうのですが、とてもお腹も空いているし、トラムに乗らねば帰れないし、宿に着いたら深夜1時半とか遅くなるので、たいていトラムの中で食べてました。(周りに客はほぼいませんでした。1、2回シンナー吸っているヤツはいたけど。)

働いていたところは、日本人が4割くらいいるお店で、しかもひたすら皿を洗う作業なんて、ウェイターとかと違って、お客と英語も話さないし、働きながら英語を上達させたかったボクには、正直好きではありませんでした。

ところが、働きだしてしばらくすると、たまに同じお店のS子さんという方(ウェイター、ウェイトレスのチーフみたい)と、この最終トラムで一緒に帰るようになりました。

S子さんは旦那さんがオージーで、自称ミュージシャンだけど、その旦那は収入はほとんどないそうでした。S子さんの性格はサバサバしていて、誰とでも気さくに話せる方のようでした。年齢は聞かなかったないけど、ボク(当時27)よりはいくらか年上のようでした。

ボクと親しいから一緒に帰ったというのではなく、先にウェイター、ウェイトレスの人たちが仕事が終わり、そのまま店でワインとか酒を飲んで、他のスタッフよりも長く飲んで、「じゃあ帰るか」という感じで重い腰を上げ、最終でたまたま一緒になったという感じでした。

S子さんは、ボクに「就職・転職するのに、学歴や資格を問うところには絶対に行かないよ。そういうのがないところに入って、自分の力を発揮すればいいんだよ」とか、たまにアドバイスのように話してくれました。

他に覚えていることと言えば、妊娠しだして、日増しにお腹が大きくなっていくのに、「マタニティは嫌だから意地でも着ない」とかいって、だんだんお腹の素肌がでていって、最後どうなっちゃうんだろうと思いました(ボクはその後、店をやめて帰国したので結末は知りませんが)。

当時、ボクの豪州のワーホリ生活も終盤に差しかかっていて、部屋も借りられずに安宿生活とか、トラムの中でまかないを食べるというみじめな日々を送っていましたが、異国の地でマイペースに生きる方の何気ない態度や言動を見聞きすることが、ボクにとっては、オアシスを見つけたような、あるいは「好きにすればいい」と教えてもらえたような気がして、なぜだかうれしかったと記憶しています。

そのおかげなのか、今となっては、ボクはゆるい生き方もあってもいいと思うようになっています。


それではまた。







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