見出し画像

「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」はなぜ大ヒットしたのか

みなさんこんばんは。いかがお過ごしでしょうか。

今日は昼前から雨で、しかも肌寒くて、5月とは思えない天気でした。


今日はテレビ東京系列の人気番組でローカル路線バス乗り継ぎの旅(通称”バス旅”)というのが2007年から現在まで放送され続けていて、映画化までされて、なぜ人気があるのかについてお話します。

厳密にいうとシリーズ1は2017年に終了し、メンバー入れ替わって現在はシーズン2で番組名もローカル路線バス乗り継ぎの旅Zとなっています。

今回はシリーズ1に限定したお話です。

概要

番組をご存知ない方もおられると思いますので、まず概要

レギュラー出演者2人と女性ゲスト(女優またはタレント。番組では「マドンナ」と称している)1人を加えた3人が、日本国内にある路線バスを乗り継いで3泊4日の日程内に目的地への到達を目指す

シリーズ1では太川陽介、蛭子能収の出演で、ゲストのマドンナは一昔前に売れたタレントや女優といった感じでした。ナレーターのキートン山田が出演者の行為にツッコミを入れたりもしていました。

一般的な旅番組とは趣が異なり、路線バスにより制限時間内に目的地への到達を目指すことが第一となっている。このため、一行は観光を楽しむよりも時間に追われながら、制限日数内で最終目的地に到着することを最優先に行動することになる。利用するバスの乗り継ぎ時間によっては有名な観光地を素通りすることもある反面、次に乗る予定のバスに間に合う、バス停近隣の、あまり知られていない穴場スポットに立ち寄ることもしばしばある。バスの車内や待ち時間における出演者と地元住民との触れ合いも紹介している。

地方の本数の少なさや終バスの早さ、さらに県境あたりでバス会社が変わることで、バス路線がなくなり、山道を10キロ以上歩く過酷な状況もしばしばありました。

第1弾は2007年10月に放送。当初は単発企画の予定だったが、一般的な旅番組とは一線を画す奇抜な内容が好評であったため、2008年度から年2回のレギュラー企画になり、2012年度からは年3回に拡大された。
視聴率競争の激戦区である土曜夜のゴールデンタイムにおいて10%を超える好調な視聴率になっていることから、テレビ東京の業績が好調なことがメディアで取り上げられる時には本番組が成功例として扱われることが多い

土曜日の単発企画が、予想外に好評で、レギュラー化され、さらに回数も増え、その後まさかの映画化(台湾編)に至ったのでした。

レギュラー2人のキャラクター

次にレギュラーの2人を紹介します

太川陽介

リーダーとして一行の取りまとめ役を担っていたバスの車内でも食事の場でも地図帳は手離さず、常に先々の予測を立ててルートのシミュレーションを入念に行っていた。地名にも詳しいことから、収録前から相当予習をして来ていると思われていた(ただし、ルートの下調べは彼自身のプライドから行わなかったらしい)。
乗り継ぎで周囲に時間を潰せる食堂や喫茶店等がない場合や、ゆっくり座って食事をする時間的余裕がない場合に、さりげなく全員分のパンや中華まん、お菓子などを調達する気配りも欠かさなかった。
時間のない中でも食事は当地の名産を選択したり観光名所を訪ねていた。
蛭子のマイペースぶりには終始振り回されており、呆れる態度を示すことが多かった反面、蛭子や女性ゲストをからかう稚気を見せていた(蛭子が予約した宿ではほとんど定番の如く、蛭子の部屋ベッドを荒らして蛭子を困らせていた)。

蛭子能収

マイペースな性格・奇抜な言動・ゲストへの容赦ない毒舌は、この番組でも健在であった。計画は太川に任せっきりで、時には「ここで温泉に入りたい」などとワガママを言って途中下車を提案することもあった。また、移動中には眠っていることが多く、キートンからツッコまれていた。オープニングでは「ブラックエビス」と紹介されたこともあり、やりたい放題の言動と太川・女性ゲストとのやり取りは番組の大きな魅力となっていた。一方、宿泊施設や飲食店での交渉をしたりする役目を担っていた。ギャンブル好きのため、移動中でもパチンコ屋や競艇場を見つけると入りたがり、第7弾では休憩と称してパチンコ屋に寄ったせいでバスに乗り遅れる失態を犯した。海産物が苦手なため、昼食の際は当地の名産などに目もくれず、一人だけカレーライスやカツ丼のような定番メニューを注文していた(夕食も現地の名産ではなく、豚カツ等の揚げ物を頼む傾向があり、酒が飲めないため、ビールの代わりにコーラやジンジャーエールといった炭酸飲料を飲んでいた)。回を重ねるうち、宿泊先は「当たりはずれ」のある旅館よりも「無難な」ビジネスホテルを好むようになっていた。

実に対照的というか真逆の2人で、水と油であり、交わらないのをゲストの”マドンナ”が和らげるような役割になっていました。

人気があった頃の番組評価としてサラリーマンタイプの太川、社会不適合者の蛭子のように表現されたりしていましたが、実はそうではなくて、誰しもこの両面を持っているのだと思います。

対照的な二人、実は…

そこで以下のように仮定してみます。陽と陰ではなく。

太川は理性

蛭子は本能

人が頭の中で、ゴールを達成する為に欲を我慢して理性で必死にやるか、あるいは高齢でもあり、長い距離を歩くのは辛いから休もうという本能的なものを優先したがるかというのが葛藤であり、ところどころで選択する機会がでてきます。

一見、真面目な太川の判断が正しそうですが、蛭子の判断のほうがかえって正しい時もあったりします。蛭子が途中からビジネスホテルを好むようになったのも”ワガママ”とみなすこともできますが、それによってストレスなく疲れを取れるという見方もできるでしょう。

田舎で最終バスが行ってしまったり、県境で10数キロ歩くかといった極限に追い込まれた時の人間の本性というか、理性と本能がどうしたらいいのかという葛藤を太川と蛭子が演じ、険悪になりそうな雰囲気をマドンナがなだめる。

実は自分の内面を映像にしているかのような番組のため、視聴者が引き込まれるような感じになるのでしょう。

それを製作者はおそらく当初は意図しておらず、なんでそんなに人気なんだろうと思っていたに違いません。

番組は視聴率低迷ではなく、蛭子の体力の問題から、二人は卒業し、現在は別のメンバーに引き継がれています。


このような理性と本能の葛藤する愉快な番組、また誰かが作ってくれたらいいのにと思います。


それではまた。






この記事が参加している募集

スキしてみて

よろしければサポートをお願いいたします!!! 費用は活動費に充てさせていただきます。