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はじめてのバックパッカーズ

みなさんこんばんは。いかがお過ごしでしょうか。

今日はだいぶ昔、豪州時代にバックパッカーズに泊まった話をします。

バックパッカーズとは、ユースホステルのようなドミトリールーム、2段ベッドがあり、複数名で同室で、食堂や冷蔵庫、バス、トイレも共同のようなところです。宿泊費が安く、長期滞在などに向いていて、世界の旅行者が使います。ユースホステルは会員になる必要がありますが、バックパッカーズはそういうのはない私営の宿とでもいいましょうか。それでは、お楽しみください。

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 シドニーで暇な時間ができたので、長距離バスでどこか違う街になんとなく旅をすることにした。ゴールドコーストのサーファーズパラダイスで一旦泊まり、その後ブリスベンに泊まり、シドニーに戻ってくるというチケットを購入した。
 バスは、日本のように高速道路など走らず、一般道をひたすら走った。運転手はズボンが膝までしか丈がなく、ドライバーというよりも、サファリパークの従業員のようだった。
途中、トイレや食事の休憩は高速のサービスエリアなどなく、ガソリンスタンドに停めて、隣接の店で買って食べた。運転手は「ミートパイなどあります」とアナウンスし、期待がもてそうだったが、日本のコンビニ以下であった。
 かなり長い時間がたち、夜に途中停車場のバイロンベイというところに停まった。するとバスの到着を待ち構えていた。金髪の若い女の子たちが、3,4人くらいいて、ダンボールの切れ端に「$22」とか書いてあって、バスから降りていく客に声をかけていた。手慣れた感じではなく、妙にハイテンションでどこか恥ずかしそうだったので、いったい何者なんだろう?と思った。

帰国してから何年も後に「深夜特急」という小説を読んだら、主人公がある国で、安宿で、店員に「おまえ日本人なら、長距離バスが泊まるバス停に行って、日本人客を連れてこい。そうしたら半額にしてやる」というシーンがあり、それを読んだ時にこの女の子たちの正体をようやく理解したのだった。

 バイロンベイを後にしてしばらくすると、ようやくサーファーズパラダイスに到着した。もう23時近かった。

 初めてのバックパッカーズ、フロントでチェックインし、部屋を案内してもらった。遅い時間であった為、部屋は真っ暗だったが、スタッフが電気をつけると、2段ベッドが2つあり、他の客が既にいた。韓国人の男女だった。寝ていたところを電気をつけたので、とても不快な様子だった。
 とりあえず、最低限の用を済ませて、そのまま寝た。翌朝起きると、その2人はいなくなっていた。

 7月のゴールドコーストは南半球で日本とは季節が逆の為、寒くて海には入れない季節だった。水陸両用バギーに乗ったり、大橋巨泉のOKギフトショップを見たり、マックにも行ったが、日本から新婚旅行らしきカップルもいて、つい日本の感覚でLサイズをオーダーしてしまって、顔が隠れるくらいでかいドリンクがきてしまって、やっちまったという雰囲気に豪初心者あるあるだなと思ったり、世界中に店舗があるハードロックカフェもはじめて入ってみた。店内は映画トップガンのテーマがガンガン流れ、ハイテンションなブロンドのウェイトレスから「ENJOY!」と言われて、なんだかアメリカかと思ったりしていた。

 部屋に戻ると、次の客が来ていた。男3人で、イタリア出身、スペイン出身、ドイツ出身だという。キャンベラの大学に留学していて、休み期間になったのできたのだという。前者2人は陽気な雰囲気で、ドイツの男は陰気な感じがした。
 しばらくして、ドイツ男とたまたま2人で話していて、「ゴールドコーストは退屈だね。ハワイを真似たみたいだ」というと、彼は「フロリダみたいだよ」という。常夏のイメージが日本とドイツでは異なるらしい。

 そして、見知らぬブロンドの女性2人が部屋に入ってきて、話しかけてきた。
「パーティーをやるの21ドルでビール飲み放題だけどくる?」
ドイツ男は「風邪引いているからいかない」と断っていた。
私は、あまりの急な出来事に状況を理解できず、「考えさせて」と答えた。
 以降、その女の子たちが部屋に来ることは2度となかった。

 サーファーズパラダイスのあるゴールドコーストと同じクインズランド州で州都のブリスベンは近く、バスで1時間半程度であり、次の旅に選んだ。こちらはユースホステルで、個室だった。到着してフロントでチェックインしようとするとスタッフが日本語で「ようこそ、いらっしゃいました」と答えてくれて少し嬉しくなった。

 街を観光するも、都会ではあるが、シドニーほどではなかった。数年前に万博があったらしく、バス専用レーンとか変わったものが少しあった程度だった。
 ユースホステルに戻り、ラウンジに行くと、黒髪のアジア系の女性がいて、手に持っている本が日本語だったので、日本人とわかり、勇気を出して声をかけてみた。
「自分はシドニーからきていて、もうすぐメルボルンに引っ越すのです」そう自己紹介すると、
「私はメルボルンに住んでいて、もうすぐ日本の大阪に帰ります」
という。
「メルボルンはいい街だから、きっと気に入りますよ。楽しみですね」
そういって女性はどこかに行ってしまった。

 自分の部屋に戻ると、サーファーズパラダイスのバックパッカーズに忘れ物をしたことに気づいた。当時使っていたソフトコンタクトレンズの煮沸器だった。これがないとコンタクトを使うことができない。慌てて宿に電話した。ところが、当時そんなのを欧米では使う文化がなかったらしく、いくら説明しても理解してもらえなかった。宿のスタッフは埒が明かないと思ったようで、そこを定宿にしている日本人客と電話で代わられた。コンタクトの煮沸器を忘れたというと、彼は理解してくれて、探してもらったら、すぐに見つかった。

 ブリスベンからサーファーズパラダイスのバス停に明日行くが、チケットの都合上降りることができないと話すと、バス停までその時間に届けますよと言ってくれた。
 翌日、バスが数分停車のサーファーズパラダイスで、サーファーの彼が片手に青色の煮沸器を持って待っていた。トラブルの恩人だと思い、お礼にいくらかお札を手渡して、彼と別れた。

かくしてバスは行きと同じように長ったらしく一般道を走り、その時の住まいだったシドニーへ戻った。

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いかがでしたでしょうか。無知の若者の旅は。アクシデントも後では笑い話になりますね。

それではまた。










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