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読書感想文 #31 『「駅の子の闘い」戦争孤児たちの埋もれてきた戦後史』

みなさんこんばんは。いかがお過ごしでしょうか。

今日は朝からすさまじい雨が降る中、午前中病院、午後は美容院に行ってきました。電車も止まり、川も氾濫寸前までいきましたが、次第に天気は回復していきました。


今日は下記の本を読んだ感想をお話します。

「駅の子の闘い」戦争孤児たちの埋もれてきた戦後史

中村光博著

これは、紹介されていて、どんなものか気になっていて、なかなか本屋さんに置いてなくて、ようやく見つけたものです。

目次

プロローグ-たった70年前、ここに孤児たちがいた11 第一部 戦争が終わって戦いが始まった-焼野原に放置された「駅の子」23 第二部嫌われていった「駅の子」-復興から取り残され、やがて忘れられ155 エピローグ-取材を終えて245

なかなか衝撃的な内容でした。NHKスペシャルでも放送されたものだそうです。


つらい過去を思い出したくないという「元駅の子」へのインタビューは難航

大空襲、学童疎開が親を亡くした戦争孤児を多く生んでしまい、京都、大阪、上野等全国の主要駅でたむろし生きていく為にもがき苦しむということがあった。その為現在の児童養護施設の前身が各地にできた。食事もない時代で、子どもたちはすぐに逃げ出し、駅へ戻るという。路上生活で盗み、ひったくり、かっぱらい、無賃乗車などで食いつなぎ、劣悪な環境で視力を失ったり、餓死するものもいて、治安も悪化社会問題となる。GHQから駅から1週間以内に子供たちをいなくなるように指示があり、「狩りこみ」というなの強制収容がなされる。鉄格子に入れられ監禁される。虫けらの扱い同然。親戚の家に預けられる子は朝から晩まで働かされ、その家の子とは差別される。ようやく学校に行けるようになるが、校舎とは別の小屋が用意され、黒板に差別用語がたくさん書かれているのに教員は消さない。厚生省が施設に様子を見に来た時だけ良い服に着替えさせられ、帰るとすぐに元の汚い服に着替えさせられる。電車に飛び込み自殺する者も。生きていくための盗みは悪さとは思えず、大人になっても繰り返し、殺人を犯し、死刑になる者も。

子どもたちが欲しかったのはぬくもりだった。国全体が餓えていたとはいえ、もう少しなんとかしてあげられなかったのでしょうか。

なぜこういうことが歴史の教科書に載っていないのだろうと思いました。終戦のラジオ放送の写真の後は、復興への明るい話題にがらりと変わります。親を失い、地獄を見た子どもたちの事実は、戦争の悲惨さを物語っていて、弱者が一番被害を被るという典型的な話だと思います。狩りこみという名前もスゴイですが、裸にされ鉄格子に入れられる子どもたちの写真は虐待と言えると思います。そして80~90歳でインタビューを受けた人たちは傷が癒えておらず、冷酷な社会をずっと抱えて人生を過ごしたという気の毒な話でした。

欧米では里親が主流ですが、日本は児童養護施設に子どもを預けて任すというのが主流なのは、戦争が背景にあったのかもしれません。現在は健全な運営がなされているとはいえ、自立してから帰る家があったほうがいいわけで、施設に任すというスタンスについてはどうなのだろうという気がしています。


それではまた。




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