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日記 〜グラデーションを感じる、など

なんだか最近涼しくなったような気がする。


ここ数日、フィクションみたいに雷が鳴り響いて不安定な天気が続いたせいなのか、外気温が心故しか低くなっているように感じる。自転車を漕いだときに肌を撫でる風が、少しひんやりしている。なんだか急に秋っぽいな、と思っていたら、気づけばもう8月は終盤だった。夏ってこんなに急に終わるもんだっけ。嫌になるほど暑がらせるだけ暑がらせて、いなくなるときは案外あっさりなんですね。夏の終わりって、なんだか訳もなく切なくなる。冬の終わりは春の始まりだから、どっちかというと前向きでぽかぽかした気持ちになりやすいのだけれど、夏の終わりはどこかエモーショナルでノスタルジックな雰囲気があると思う。まあこれは自分が夏か冬かでいったら夏の方が好きというのもある。


ところでみなさん、夏休みの宿題は何型でしたか。
前半にまとめてやる型、後半で一気にやる追い込み型、毎日コツコツ型、夏休みに入る前に進める優等生型、前日一夜漬け型。ただしやらない型は省くこととします。
わたしは、先に終わらせちゃうぞ!と意気込んでスタートダッシュを決めるものの途中で完全に失速、遊び呆けてたら終盤になってて焦りながらやる無計画3日坊主型です。

この型は今でも変わってなくて、書きたい!と強く思って始めたやつがパッと浮かぶだけで現状3つくらいあるのに、書きたいとこだけ書いてそこから進まなくなったがために完全に放置している。のくせに、帰り道の思いつきで今これを書いている始末。人間、そう簡単には変われない。




今日はほんの少しだけ仕事が長引いた。
クレジットカードの引き落とし通知が来ていたので、減った分の入金をするためにATMへ寄った。数値を入力して、出てきた紙幣をガサッと手に取る。と同時に、自分がこんな金額を帰り道にスッと引き出せるようになっていることへの静かな驚きが来た。自分は案外がんばれているのかもしれない。ちょっとうれしくなった。

ついでに、よく寄る小さな出店でベビーカステラを買って行く。完全に常連扱いをしてもらっているので、今日はちょっと遅めなんですねなんて声をかけてもらいながら、売り切れギリギリのベビーカステラをゲットする。店員さんに顔を覚えられて込み入った話をするのは、正直気恥ずかしい。でもここのは群を抜いて美味しいので背に腹は変えられない。社交モードの仮面をつけてお喋りをする。いっぱいオマケを入れてもらえたので結果オーライ、ほくほくで帰路に着いた。


やっぱり外はいつもより涼しくなっていた。だけどやっぱりまだ蝉の声ははっきり聞こえていて、湿気はしっかりと空気に残っている。夏と秋の狭間だ。空は昼と夕方と夜とを混ぜたみたいなグラデーションになっていた。それでいったら多分今は夏と秋のグラデーションなのかもしれない。私はグラデーションのデザインがとても好きなので、悪くないなと思った。



そんなことを考えていたら、ふと、いつもだったら素通りする地元のスーパーに、何故か意味もなく寄り道したくなった。こういう衝動には素直に従った方がいい。ハンドルをスーパーの入口の方へ切った。



ガラガラの駐輪場へ自転車を停め、人気の少ない店内へ入る。薬局の店員が、あれってはたぼうきっていうんだっけ、なんかふわふわしてるやつ、で、棚をぱたぱた掃除していた。
かなり近い距離に靴屋が2つもある。でも最近すごくお気に入りのサンダルを買ったので特に見たりはしない。
ふらっと目に入った服屋に、欲しいと思っていた形の洋服が安く売っていて驚いた。案外ここの店にも掘り出し物があるじゃん、侮っててごめんと思った。探そうと思ってないときに欲しいものを見つけると、ちょっとラッキーな気持ちになる。この気持ちは、他の人が作ったプレイリストから自分の好きな曲が不意に流れてきてくれた時のそれに似ている。
地下には小さいゲームコーナーがあって、アンパンマンの乗り物やら太鼓の達人やらクレーンゲームがあった。何度もここを通過しているはずなのに、ここの存在を私は認識していなかった。
100均のメイン棚がハロウィン一色になっていた。相変わらず100均は季節の移行が早くて、何の名残も未練もなくパキッと変わってしまう。


と、目的も意味もなくフラフラと店内を数分歩いたらかなり満足した。何を得たわけでもないけれど、頭を空っぽにしてただ歩く行為の必要性が身に染みて感じられた。店を出ると外は結構暗くなっていた。確実に日が短くなっているな。それでもまだ遠くの方の空は青くて、その奥は黄色く夕に焼けていた。



それを見ていたら、ああそっか、わたしも、グラデショーンで変わっていってるんだ、と思った。



ある日を境にぱきっと変わる商品棚とは違って私は、あの日あの時を境に何かが変わるような単純な造りにはなっていなくて、がんばって何かを成し遂げてもその瞬間に大成長できるわけでも大逆転できるわけでもない。だけど気づいたらお金をごっそり引き出せるくらいにはなんとか働けているし、気づいたらこんな歳になっている。大荒れだった肌を治すためにスキンケアを一新したのに特に大きな変化は得られなかったから意味なかったかと思っていたけれど、ふと見たらかなりニキビが減っている。無計画3日坊主の自分はまだいるけれど、長期的な目線で模様替えを企んでいる自分も新しく現れてきている。そんな風に私はだんだん、じわじわと変化していっている。そして知らない間に昔の自分とは全然違う人間になっているんだと思うし、実際もう今の私は幼い時とは全く別の人間だ。

なんでこんな人間になってしまったんだろうって思う時もあるけれど、これも私の好きなグラデーションデザインの内のひとつなんだって思えたら、ちょっとだけ楽になれた気がしたし、そんなに悪くないかもなって思えた。

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