松本 将司

さくらインターネット株式会社のコーポレート本部の中の人で、主領域はM&Aや組織…

松本 将司

さくらインターネット株式会社のコーポレート本部の中の人で、主領域はM&Aや組織再編です。フリーランスとして、スタートアップの経理財務・法務・資金調達等をサポートしていたり、地方の事業承継に関するM&Aアドバイザーなどもしております。 ※事業承継アドバイザー(BSA)

最近の記事

事業承継M&Aについて②

前回は事業承継M&Aが通常のM&Aとどういった部分が違うのかについて財務的アプローチで書きましたが、今回はもう少しディール全体を捉えてその特徴をいくつか書いてみたいと思います。といっても当然バイサイドとセルサイドでそれぞれに特徴がありますので、今回はバイサイドの特徴を取り上げてみたいと思います。 (※網羅性はなんらありませんので、あくまでトピックス紹介になりますが) ①事業計画がない! これは事業承継の場合に限りませんが、事業承継M&Aの多くは小規模企業であるため、対象会社

    • 事業承継M&Aについて①

      今回は自分の中でも一番書きたいと思っていた事業承継に関するM&Aについて何回かに分けて色々と書いてみようと思います。 「事業承継M&A」とは、要は経営者がリタイアメントを目的に会社を売却したいというニーズから発生するM&Aなわけですが、そうなると以下のような特徴を持つことになります。 「売り手側の株主=経営者」になる 売り手側の株主は法人ではなく個人になる 売却が成立すると経営者は会社の経営から去ってしまう これらの特徴をより具体的に表現していくと、買い手側からする

      • M&AのDDを構造的に理解する⑤ ~経営者ヒアリング編~

        前回は、「資料調査」「ヒアリング」「質問状」といった具体的な手法について考察しました。DDの過程は通常時間的な制約がつきまとうものですから、「本当は資料をもってちゃんと事実確認したい」という気持ちと、「時間がないので資料を入手するよりもヒアリングで事実確認して手間を省きたい」という両方の想いが交錯するものです。後者は極端には、YES or NO方式で回答してもらって言質を取るような対応もあり得ます。今回は、そんな中でも個人的には最もスキルが必要で、DD対応の真価が問われると思

        • M&AのDDを構造的に理解する④ ~DD実行編~

          前回は、DDにおける依頼資料の考え方を少し考察してみました。これはDD全体の中で非常に重要なテーマだろうと思っています。今回はそこから踏み込んで、DDにおいて取られる手法にはどんなものがあって、それぞれがどういうケースで活用できて、どのように組み込んでいくと良いのか?という点について考察してみたいと思います。 M&A実務本に書いてあることではありますが、DDにおける手法は大きくは「資料調査」「ヒアリング」「質問状」といったものに大別されると思います。DDの基本はもちろん「資

        事業承継M&Aについて②

          M&AのDDを構造的に理解する③ ~依頼資料編~

          前回までは、M&AにおけるDDとそこで検出したリスクをどのように手当てするかについて書いてきました。今回からは少し視点を変えて、やや実務本っぽい内容になりますがDDの手法と各手法の扱い方についてまとめてみたいと思います。 DDをスタートする前には、初動対応として「依頼資料リスト」を作成することになります。財務DDであれば過去3年分の税務申告書や、月次残高推移表や資金繰り表などになりますが、この依頼資料リストの作り方にも工夫が必要になります。基本的に入手したい資料はどんなディ

          M&AのDDを構造的に理解する③ ~依頼資料編~

          M&AのDDを構造的に理解する②

          前回、DDと株式譲渡契約書のつながりについて書きましたが、今回はDDにおいて判明したリスクをどう扱っていくのかについて書いていきたいと思います。 たとえば労務DDの結果「未払い残業代が存在している」という事が判明したとします。この場合の対応方法は以下のような選択肢が考えられます。 ①特に手当はしない:勤怠情報を調査したら未払い残業代が理論上は存在することが判明したとしても、リスクが顕在化する可能性が低そうな場合には特に対策を取らないことも考えられます。例えば、賃金債権がも

          M&AのDDを構造的に理解する②

          M&AのDDを構造的に理解する①

          以前からまとめておきたいと思っていたことでもあるのですが、いわゆるM&Aの際のDD(デューディリジェンス)について、全体プロセスの中でどのように位置づけられるものなのか?どういった効果が期待されるのか?といったことについて自分なりの考察を書いてみたいと思います。 DDは、財務DD・法務DD・労務DD・事業DDなどいくつものジャンルに分かれていますが、日本語で言えば要は「調査」なので、『対象会社のリスクを洗い出すことが目的である』みたいな事がM&A実務本なんかには書いてあるわ

          M&AのDDを構造的に理解する①

          まずは自己紹介

          重い重い腰をあげてついにNoteデビューすることにしました。 きっかけは最近フリーランスで仕事をすることが徐々に増えてきていて、さらにコロナ下でオンライン前提の仕事が増えてきたからです。新規のお仕事する時に名刺交換して自己紹介してっていう流れが無い事が多くて、オンラインだと割とすぐに仕事に入っていくことが多くなりました。 それはそれで省エネで良い面もありますが、相手はやり取りしながら「この人ってどんな人なんだろう」という気持ちをどこかに抱きながら仕事しているのではないか・

          まずは自己紹介