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「ロミオとジュリエット」は僕たちのこと

ロミオとジュリエットは恋に落ちて、死ぬ。わかりきったことだ。
僕は、そんなわかりきった事実より、ジュリエットが窓辺でひっそりとするため息に心奪われる。そのため息の中に潜む、清らかで、滑らかで、うっとりするような、恋の、そのはじまりを、永遠に感じていたいから。
ロミオが初めてジュリエットを見たときの、心臓の激しい鼓動の音をずっと聞いていたい。彼らの住む世界において、そのどこまでも純粋な心臓の鼓動が、どれほど愛おしくて、美しいかに思いを馳せていたいから。そして、その鼓動を信じる力が僕にもあるということを、僕の心臓の鼓動とともに、発見したいから。
まだ、あるぞ。
モンタギュー家とキャピレット家が対立している。そんなことはわかりきったことだ。
僕は、そんなわかりきった事実より、モンタギュー家の一人の男が、キャピレット家の男たちに切りつけられた傷の数と、その無数の傷から流れ出る血を見たときの、その男の憤りと、その男を愛する女性が感じる、愛する人の肉体を傷つけられたやるせなさについて考えていたい。僕が生きる2019年の世界でもそんなことは日常茶飯事だ。僕もまた誰かに傷を与え、傷を受けている。違いは?ナイフを忍ばせているかどうかだ。僕らは、日々、何かに怯えながら、何かより強そうにしたりして生きている。傷はそんなに浅くない。そんな事実に哀しみを覚えながら、この世界でどうやって希望を持って過ごしていけばいいか、建設的に考え続けていたい。
まだ、まだ、あるぞ・・・
そう。まだまだ、あるんだ。
だから、僕は劇場という場所を愛さずにはいられない。
劇場では、日々、誰かは誰かを愛し、誰かは誰かを憎んでる。この地球で起こっている出来事と全くおんなじだ。
現実の世界を愛するには、僕は、ちっぽけすぎる。
だから、劇場というもう一つのセカイで、現実にある世界をもっともっと感じるために、人間についてもっともっと発見するために、演劇に交わっていたい。
劇場へ、行く。
それは、世界と人間を信じて、面白がろうとする、前向きなエネルギーに思い切り乗っかってみることだ。
劇場のカベは、現実を引き離すためにあるのではない。
現実を、凝縮するためにある。
だから、僕が考えている「ロミオとジュリエット」とは、僕たちのことなんだ。

【2019年1月26日 10:00 チケット発売開始】
カクシンハン・スタジオ 第1期 修了公演
「ロミオとジュリエット」

公演日時:2月23日(土) 18:00、2月24日(日) 13:00
会場:シアター風姿花伝

チケット発売はこちら![Web予約フォーム]

公演詳細はこちら![カクシンハンWebサイト]

カクシンハン・スタジオ(演劇研修所)
2019.4 第2期スタート!

【第2期生募集】

一次募集期間:1月10日(木) – 1月31日(木) 必着
二次募集期間:2月10日(日) – 3月 4日(月) 必着

カクシンハン主宰・演出家の木村龍之介をはじめ、カクシンハンの俳優および現役で活躍する講師陣が教える、俳優・アーティストのための実践的な育成・研修機関です。

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