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ここがスゴいよ!秋元康〜オススメ歌詞選〜



関ジャムで秋元康特集が組まれる。放送前にこれを書いているからまだ観ていないけど、予想できる展開として『川の流れのように』『海雪』『フライングゲット』あたりが紹介されて、異常な作詞ペースなどの小ネタを挟み、ゲストの杉山勝彦が手がけた『きっかけ』『サヨナラの意味』などの話に発展していくんでしょう。


物足りない。



秋元康の歌詞は1時間で味わい尽くせるものじゃない。

青春を秋元康一色で過ごした私が素晴らしいフレーズを紹介していくから、みんなで一緒に康に浸ろう。

※この記事内には秋元康プロデュースアイドルの歌詞しか登場しません




電車の窓 手鏡代わりに
春の制服 そっとチェックして
キュン/日向坂46


このキャリアでこの歳で、秋元康はまだ新学期の期待と不安の入り混じる様をフレッシュに描写できるのか、と驚いた2020年発表の曲。電車の窓に反射で映る制服をチェックしてしまう感じが男女問わず「あるある」なんだけど、それをしている女の子は可愛いんですよ。一人称視点でこのシーンを見れば「あるある」なのに、三人称視点でこのシーンを見ると新学期の可愛い女の子が目に浮かぶ、って歌詞としての魅力が詰まりすぎてませんか?


すぐ近くなのに離れて感じる
君はバスの2つ前の席
声をかけるには ちょっと恥ずかしい
何度 恋をしても慣れないね
カーブ曲がり 身体が傾く時
その方向は 同じさ
君に重力シンパシー
何も話せなくても
確かに 今 僕らはひとつになる
重力シンパシー/AKB48


同じバスに乗ってる好きな子との共通点を描写するときに、乗ってるバスで「おっとっと」ってなるシーンを普通選びますか?それは共通点とかじゃないだろ。「僕らはひとつになる」じゃないのよ。
でも、この発想が康ですよ。常人では思いつけない歌詞。



こんなに会いたくても こんなに好きでも
振り向いてさえもくれない
傘 差してるのに
頬が濡れるのは どうにもできない
てもでもの涙
てもでもの涙/AKB48


涙の描写ね。傘を差してるのに頬が濡れるんですよ。不思議ですね。なんでですかね。泣いてることを雨に例える歌はたくさんありますが、その中でも群を抜いてお洒落なフレーズです。
そしてこの歌にこんなタイトル付けれますか?こんなに会いたく"ても"、こんなに好き"でも"、の涙ですよ。洒落てますねえ。



遠距離ポスター 近くにいるのに
君は切ないほど 手が届かない
遠距離恋愛しているみたいに
なかなか会えないけど 誰よりそばにいる
遠距離ポスター/AKB48


壁に貼った好きなアイドルのポスターを眺めてるだけの歌。この発想が康。康は本当に悶々とした少年を描くのが上手い。ポスターとして誰よりそばにいるけど現実では手が届かないっていう距離感の描写で、主人公の気持ちが切なくて馬鹿らしくて愛おしくなる。



ありがちな恋愛のその結末はどれも同じで 
そう知らぬ間に二人 別の道を行く
愛よりも大切な夢を見つけたのなら
現実はいつだって退屈なものだ
ありがちな恋愛/乃木坂46


夢を追いかける人の歌なのに恋愛の面からアプローチしているのが巧み。目の前の自分との恋愛を「現実」と言ってしまうところも良い。自分との現実的な恋愛よりも、夢のその先は輝いて見えてしまう残酷さが切ない。
歌詞中にある"ありがちな恋愛"ってワードは自分の恋愛を俯瞰で見てるし、その恋愛への諦め、割り切りを感じる。
"ありがち"をつけるだけで"恋愛"という言葉を新たに彩った素晴らしいセンス。



未来とは? 1秒後
明日でも 来年でもなく
"たった今"から始まるんだ
未来とは?/SKE48


めちゃくちゃ当たり前のことを言ってるって言えばそうなんですけど、思い描いた未来に進むためにはその瞬間に一歩踏み出すことが大事って実はかなり真理なんじゃないかと思って、自分の転機では時々この歌詞を思い出します。


不安そうに振り向く 君が無理に微笑んだ時
頬に落ちた涙は 大人になるためのピリオド
永遠の桜の木になろう
そう僕はここから動かないよ
もし君が心の道に迷っても
愛の場所がわかるように立っている
桜の木になろう/AKB48


「桜の木になろう」って初見じゃ意味わからないじゃないですか。これ卒業ソングなんですよ。全文を見るとよくわかるんですが、高校の卒業を機に進学とかするのかな?付き合ってた2人は離れ離れになるんですよね。大人になるためのピリオドを打つわけです。女の子は主人公と別れて新たな一歩を踏み出す、その決心の象徴が桜の木なんですよ。だから桜の木を思い出して、これからも頑張れよって歌なんです。いま桜の木=決心って言ったんですけど、そのあとを読むと桜の木=愛の場所でもあるんですよね。別れを選んでも快く送り出すことって愛じゃないですか?だからあんなに愛されていたんだ、あんなに強い気持ちで新たな一歩を踏み出すと決めたんだ、ってことを胸に頑張ってねって歌です。いい歌〜



春の魔法に陽射しは変わって
人も街も明るめに着替えた
風に誘われ気づけば知らずに
僕は口ずさんでいた

遠い昔の記憶の彼方に
忘れかけてた2人のfavorite song
なぜこの曲が浮かんだのだろう?突然に

(中略)

振り返るように 君も思い出すだろうか?
あの頃 いつも流れた ヒットソング
君はメロディー メロディー
懐かしいハーモニー ハーモニー
好きだよと言えず 抑えていた胸の痛み
君はメロディー/AKB48


思い出の曲をふいに口ずさんで色んなことがブワッと思い出されてくることってありますよね。
好きだった人との思い出の曲は自分の中では実質その人とも言えるはず。
懐かしい思い出の恋を美しく描いた歌詞。

ちょっとメタ的な話にはなりますが、この曲はAKB48が10周年だったことを記念して前田敦子や大島優子など卒業メンバーが参加して現メンバーと一緒に歌ったシングルなんです。その情報ありきだとよりわかりやすいと思います。前田敦子もメロディーだし大島優子もメロディーなんですよ。あの頃のヒットソングの象徴なので……





どうでした?

あくまでも僕の解釈で歌詞の話をしたんですが、魅力が少しでも伝わってると嬉しいですね。

いつかトンチキ歌詞集や失敗歌詞集なんかも書きたい。

このnoteで秋元康はただの太ったおじさんでも、『セーラー服を脱がさないで』を書いただけのキモいおじさんではないことが1人でも多くの人に伝わってほしい。
あの歌は本当にキモいけど。時代のせいか?

コメント欄に推し康ください。みんなで共有しよ。




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