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小規模特認校の活用提案

社会教育士の堀田奈津子です。過去2回では、我が家が小規模特認校を検討し、悩んだ末に見送る決断をした、そんなお話をしてきました。
この経験の中から、私の考える小規模特認校制度の活用提案をしたいと思いますので、興味のある方はお付き合いください。

利用者家族のメリット

過去の記事は、こちらの2つです。

まず、実際に子どもを学区外の小規模特認校に通わせることになる、利用者家族のメリットは下記の通りです。

  1. 転居を伴わず、他の学校に行ける

  2. 個人の事情を聞きとった上で、細やかな対応

  3. 学校の選択肢が広がる

まず1つめに、転居を伴わないというメリット。
小学生の子どもを持つ家庭の場合、持ち家か賃貸かというと既に持ち家に住んでいるという場合が多いです。
そのため、引越しを伴う=家をどうするかという問題がセットになります。
そういった家庭では、転居をせず学区外の学校に通うことが出来るというのは、何よりも大きなメリットとなります。
(学校という環境が変わる際、住居環境が変わるとさらに負荷がかかることもあるため、その点でも負担が少ない)

2つめは、個人の事情に応じて学校側と密に連携を図れること。
マンモス校では、1人1人に対しきめ細やかな対応が出来ないという悲鳴があがっています。その点で、少し配慮してほしいことについて、マンモス校よりも先生に余裕があるということは、メリットでしょう。

3つめは、前回お伝えした通り、学校の特色を理解した上で、子ども1人1人に合った選択の可能性が広がるということです。

受け入れ学校側のメリット

  1. 在校生からみて、生徒の数・幅が広がり多様性が増える

  2. 過疎化が進む山村地域に関係人数が増える

  3. 子どもをきっかけに移住が進む可能性

1つめは、元々その学校に通う学生にとって、生徒の数・幅が広がることです。制度がなければ、その地で育っている限られたメンバーの中で小学校の6年間を過ごすことになります。
その世界での関係構築ももちろん大切だと理解しますが、少し文化の違う人と交流することによって、さらに多様性が広がるのは確かです。
これらの学生にとって、毎年転校生がやって来る経験、人の入れ替わりのある環境はメリットになります。

2つめは、人口流出が続く山村地域にとって、子どものみならずその親・家族を巻き込んだ関係人口が増えること。
小規模の学校であるが故に、学校との関係性も従来より近くなります。その時に、もしかしたら今住んでいる地域よりも、お互いの顔が見える関係性がつくられることもあるでしょう。
子どもだけでなく、親も関わりを持つ(持たざるを得ない状況が発生する)ことで、心地よさを感じる環境に身を置くことになるのかもしれません。

3つめは、2の発展形となりますが、子どもをきっかけに市街地から山村への移住に繋がる可能性もゼロではないということ。
小規模特認校は、自治体にもよりますが小学校の6年間だけの制度、という場合が多いです。
(小・中一貫の9年間を徹底されている自治体もありますが、稀)

どれだけ心地の良い小学校生活(最大6年間)を過ごしたとしても、卒業したら自分の住んでいる学区へ戻ることになります。
それらを踏まえると、子どものため、自分の心地よさをつかみ取るため、移住を検討することもあると考えます。

これらの利用者家族・受け入れ地域学区のメリットを十分に理解した上で、小規模特認校制度をもっともっと盛んに打ち出していくというのは、非常に面白いのではないかと思います。

おわりに

今回、縁あって見学をさせていただいた山間部の小学校では、行政側の見学機会だけではなく、地元の団体主催で見学イベントを行っていました。

最初から移住をセットに考えている地区では、普通の学校見学だけではアピールが足りないことを知っているため、休日にイベントを主催し、そこに学校見学を付け足しているのです。
行政側からだけではなく、受け入れ地域からもこうした工夫・取組みがあることで、全くその地域を知らない人にとっては安心材料になります。

これからも、この制度が広がっていくことで、関わる人全員がwin-winの関係でいられることを望みます。

では、また次回。

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